「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、ユニリーバ・ジャパンの入社式の話からスタート。
ソーシャルエディター浅野:ユニリーバ・ジャパンのヘアケアブランド「ラックス(LUX)」は3月、新たなブランドスローガンとして「#BeHairself 私の髪は、私が決める。」を掲げ、自分らしく自由に髪型や髪色を楽しめる世の中を目指すプロジェクトをスタートしました。第一弾として4月に開始した、社員証(ID)の写真を自分らしい髪型の写真に変えていくプロジェクト「Real Me ID Project」がTwitterで話題になっています。派手な髪色や個性的な髪型は世の中の偏見が根強く、とくに会社では「社会人はこうあるべき」という意識が働いています。こうした偏見や固定概念をなくして、多様性のある世の中を目指そうという企画です。正直この企画を見たとき、「これは賛否あるな」と思いました。日本では“マナーとしての身だしなみ”の意識が強いと思うからです。とくに接客業などは、髪色のトーンを細かく決めていることも少なくありません。さらに男性は髪型(長さ)の規定も厳しいところが多いようです。確かに見た目という第一印象は大きいです。しかし、いきなり「金髪や派手髪を認めよう!」という話ではなく、他人が人の容姿で過剰にジャッジする世の中の空気を少しずつ変えていこう、ということだと私は思いました。しかしTwitterの反応を見ていると「就活生が金髪で面接に現れたら採用するのか?」など、なかなか厳しい意見が多かったように思います。立場によっても意見は変わりますから、こういった多様性に関する発信の難しさを感じます。全方位の人が納得できる発信は、正直かなり難しいですね。村上さんはこの企画についてどう思いますか?
記者村上:今回忘れちゃいけないのは、ユニリーバ・ジャパンというビューティ、ヘアケアの会社の企画ということだと思います。一般論として「就活生が金髪で面接に現れたら採用するのか?」は、もっともな質問。でもユニリーバ・ジャパンは、「ヘアケアの会社なので、私たちは金髪でも採用するし、そんな社会になればと願っています」と意思表明したんでしょうね。私は、美しい髪の毛で人々に幸せになってもらうことを目指している会社として、応援します。
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