パルグループホールディングス(HD)の2023年2月期連結業績は、売上高が1644億円(前期は1342億円)、営業利益が前期比110.4%増の158億円、経常利益が同109.7%増の160億円、純利益が同148.8%増の99億円だった。会計基準の変更に伴い、売上高の伸び率は出していないが、全ての項目で過去最高を更新し、利益面で初めて100億円台を突破した。
コロナの収束により、個人消費が想定以上に回復したことで、これまで苦戦していた衣料事業が回復したことと、EC販売が引き続き好調だったことが売り上げを押し上げた。さらに衣料事業のプロパー消化率が改善し、販管費率を抑制したことで利益も大きく伸びた。衣料事業の売上高は「ディスコート」が同81.2%増とほぼ倍増。好調が続くカジュアル系の「カスタネ」「チコ」も同40%増となり、EC販売が全体をけん引しながら店頭も活気づくことで過去最高の業績につながった。
既存店の売上高は、店舗・ECで同20%増、店舗のみで同16.5%増、ECのみで同28.8%増。EC売上高は423億円となり、目標の400億円を上回った。衣料事業におけるEC化率は40%で前年に比べて2.2ポイント増加。アプリ会員は773万人を超え、目標の800万人達成も時間の問題となった。
事業別の業績は、衣料事業の売上高が同21.4%増の1057億円、営業利益が前年比4倍強の125億円、店舗数は前年度末比で23店舗減少した。ECの先行予約販売を強化したことと、店舗での購入時期が早まったことが、プロパー消化率を押し上げ、粗利の改善につながった。
一方、雑貨事業は売上高が同24.6%増の585億円、営業利益は同21.3%減の32億円、店舗数は48店舗増加した。生活防衛雑貨ブランドとして脚光を浴びる「スリーコインズ」が売上高をけん引したものの、急速な円安とエネルギー価格の高騰などに起因する仕入れ価格の上昇により、減益は免れなかった。
雑貨事業の減益について、井上英隆会長は「為替変動で5%ぐらい粗利をとられたことが大きな要因」と話す。前期は決済レートを115円に設定したため、昨年10月に150円近くまで円安に触れたことが大きな痛手となった。今期は135円ぐらいで設定しているという。
過去最高業績については「ECが非常に原動力になった。店舗も相当勢いづいてきている。当社はこれまで地味にコツコツと事業を築き上げ、そのときどきのテーマに徹底して取り組んできた。社員それぞれがやりたいことをやり、全員が前向きに取り組んでいるのが強みで、好業績の大きな原動力になった」(井上会長)と振り返る。
今春、同社は7000円のベースアップを実施。「当社なりのイノベーションと効率化を図りながら当然、来年度もベースアップを考えている。そうしないとこれから企業は存続できない」(井上会長)と、賃上げに対する見解を明らかにした。
2024年2月期の連結業績は、売上高1772億円、営業利益166億円、経常利益167億円、純利益103億円を見込む。引き続きブランドと店舗の大型化、高感度なライフスタイルショップ化を進めると同時に、EC売上高500億円、アプリ会員数1000万人を目指し、さらなるECの増強に努める。