ファッション

「ダウンを廃止せよ」 H&M渋谷店で動物愛護団体が抗議

 動物愛護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals)の日本支部は4月12日、H&M渋谷店前で同社にダウンの使用を廃止するよう訴えた。アヒルのコスチュームに身を包んだ5人が、「ダウン=血まみれ」「ダウンを廃止せよ」などと書かれたプラカードを持ち、店舗入口付近で約1時間に渡って抗議した。人通りの多い時間帯だったが、人だかりができることはなく、カメラを向ける人もいれば、そのまま店舗に入っていく人などもいた。PETAは過去には「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の店舗前などでも抗議を行っている。

 香港に拠点を置くPETAアジアが行った調査では、H&Mが取引している可能性があるベトナムのダウン農場で「糞が散乱した敷地や汚れた小屋の中でアヒルが苦しんでいる様子や、まだ完全に意識がある状態で首を刺されて血抜きされている様子などが確認された」という。また、責任ある素材調達を証明する第三者認証として普及し、H&Mも活用している「レスポンシブル・ダウン・スタンダード (RDS) 」認証が、動物福祉にまつわる適切な監査が行われていないとし、認証の信憑性に欠けていると主張している。

 PETAメンバーの今井レイラさんは、「日本の消費者は生産地で起こっていることを知らない人が多いので、私たちの活動を通して関心を持ち、自分たちの暖かさと、残酷な行為の代償を比べた上で選択をしてほしい。ダウンに代わる素材はたくさん出てきているのでファッションがアニマルフリーになることを望んでいる」と話した。H&M以外にもデサントやユニクロなどに、ダウン廃止の要望を提出しているという。

 H&Mは、「PETAがこの問題に取り組み、ファッション業界における容認できない違反を明らかにすることで、最終的に動物福祉に関する業界の基準や慣行の改善に貢献していることを歓迎している。PETAが調査したサプライヤーと直接の関係はないが、今回の疑惑を非常に深刻に受け止め、RDS認証のオーナーと緊密に連絡を取り合い、今後、当基準とその検証について改善の必要性があるのかを見出すために協力できることがないかを確認している。私たちは、これら規格や基準が動物福祉の向上を支援する重要なツールであると信じている」とコメントした。

 PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)は、世界最大の動物愛護団体。世界中に支部があり、公式サイトによると900万人が所属しているという。主に、動物福祉に反する慣行が見られる動物実験、食品産業、衣料品取引、エンターテインメント産業に焦点を当て、教育、調査報道、研究、動物救済、立法、イベント、抗議キャンペーンなどを通じて活動している。

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