仏ビューティブランド「クラランス(CLARINS)」を創業したクルタン・クラランス(Courtin-Clarins)一族が所有するホールディングス会社、ファミーユCパルティシパション(FAMILLE C PARTICIPATIONS以下、ファミーユC)はこのほど、イギリスのスキンケアブランド「パイ スキンケア(PAI SKINCARE)」を運営するパイ スキンケア社の過半数株式を取得した。取引額は非公開。ファミーユC は2021年4月に900万ドル(約11億8800万円)で少数株式を取得し、シリーズB投資ラウンドを主導していた。
ファミーユCのプリスカ・クルタン・クラランス(Prisca Courtin Clarins)最高経営責任者(CEO)は「『パイ スキンケア』はイギリスでのビジネスを加速させ、ヨーロッパで拡大する時期にきている」と話し、98%自然由来成分を使用している点や原材料の調達において透明性が高い点を挙げ“本物のクリーンビューティブランド”だと指摘した。また、「多くのクリーンビューティ製品と異なり非常に効果効能が高い」と述べている。
「パイ スキンケア」はサラ・ブラウン(Sarah Brown)が07年にイギリス・ロンドンで創業。創業者自身が慢性的なじんましんに悩まされた経験から敏感肌向けスキンケアとして立ち上げた。Bコープ認証のほか、コスモスオーガニック認証やビーガン、クルエルティフリー(動物実験を行わない)認証を取得している。ベストセラー商品は“ローズヒップ・バイオリジェネレート・オイル”(30mL、29ポンド=約5000円)で、現在30カ国、900店舗に展開する。業界筋によると、年間売上高は約1000万ポンド(約16億9000万円)と推定される。
「パイ スキンケア」はファミーユCやクラランスグループとのパートナーシップにより小売戦略のサポートを受けてきた。イギリスでは百貨店ジョン・ルイス(JOHN LEWIS)、ヨーロッパではオーマイクリーム(OH MY CREAM)が重要な提携先となっており、セフォラ(SEPHORA)との提携はヨーロッパ全域への展開の鍵となる。また、売り上げ全体の40%がオンラインによるもので、ファミーユCは今後、自社ECサイトの売り上げ拡大をサポートしていく。
ファミーユCはクリーンビューティ領域で投資を強化している。22年にロサンゼルスを拠点にするクリーンビューティブランド「イリア(ILIA)」を買収したほか、ラテンアメリカ発のクリーンヘアケアブランド「セレモニア(CEREMONIA)」の少数株主となっている。