ファッション
連載 エディターズレター:IN FASHION

訪日関係者に視察をオススメしたい売り場 阪急うめだ「グリーンエイジ」【エディターズレター:IN FASHION】

有料会員限定記事
※この記事は2023年04月18日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 来日する業界関係者に必ず聞かれる質問が「今見るべき売り場とは?」です。それに対して今は阪急うめだ本店の新ゾーン「グリーンエイジ」をオススメしています。約2300平方メートルに約40のショップを集めた同ゾーンは、百貨店のチャレンジや、サステナビリティの取り組みなどいろいろな意味で世界に類を見ない売り場です。加えて売り場にはポジティブムードがあふれていて元気をもらえます。ポジティブムードの源泉は新しい時代を切り拓く、同売り場のチャンレンジ精神にあるのでしょう。

 

 「グリーンエイジ」と言う名前から想像がつくように、同ゾーンのコンセプトの根底にはいわゆるサステナビリティの考え方がガッツリ入っています。「ステラ マッカートニー」が世界初のカフェをオープンすることがそれを象徴しています。

 内装にも抜かりはなく、レストスペースで存在感を放つ年季の入った柱はなんと、旧本館を長年支えてきた地中杭を一部使用しているそうです。阪急うめだ本店の建て替え工事に伴い廃棄する予定だったものを再利用しています。けれど同ゾーンを紹介するこちらの記事には一言も「サステナビリティ」の言葉がありません。いいですね〜。

 サステナビリティの考え方はもはやビジネスの大前提。その言葉を強調し、売りにする必要はありません。サステナビリティを大前提に、その上でいかにお客さんを楽しませ、共感を得られるかが問われている。その難しい課題を「グリーンエイジ」は挑戦していることが記事から伝わります。

 インタビューに応えてくれたグリーンエイジの石田良太営業統括部ゼネラルマネージャーと宮本智美ディビジョンマネージャーも1時間のインタビュー中、数回しか「サステナビリティ」という言葉を使いませんでした。彼らが選んだ言葉は「人と自然の共生 」、そして「循環」です。

 「循環」のキーワードはあらゆるところに反映されています。売り場の導線もその一つです。百貨店内のラグジュアリーフロアでは“当たり前”の景色である、売り場の3方を囲む“スリーウォール”もここではナシ。「プラダ」と「クロエ」と「ロエベ」とアウトドア売り場、自主編集売り場が有機的につながっています。

 また、ポップアップイベントで紹介したブランドや職人技などをポップアップ終了後もお客さんとつなげつづける仕組みも整えたり、コンセルジュサービスにより例えば「服の染め直し」といった売り場にはないサービスも提供したりと、目に見えない部分でも一時的な話題作りとは異なる姿勢が貫かれています。

 穏やかな空気と同時に前衛的でもある、常識にとらわれないという売り場は5月に第2弾のオープニングを経て本格オープンです。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを向 千鶴執行役員 WWDJAPAN 編集統括がピックアップ。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度お届けします。

エディターズレターとは?
「WWDJAPAN」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在8種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

この続きを読むには…
残り0⽂字, 画像0枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。