4月は新入社員が働き始めるほか、転職や異動などにより新たな職場で仕事をスタートする場合もあるだろう。そこで今回は、ドキドキしながらファッション&ビューティ業界に足を踏み入れた人に向けて、日米中韓の「WWD」エディターが業界の現在地と2023年の展望を解説する。コロナ後、ラグジュアリー消費をけん引してきた米国市場がインフレなどで失速しつつある中、欧州ラグジュアリーブランドの多くは原点に立ち返ったクリエイションを発表。「WWD」のインターナショナル・エディターが、世界のファッション業界の見通しを語る。(この記事は「WWDJAPAN」2023年4月3日号からの抜粋に加筆したものです)
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「ロエベ(LOEWE)」2023-24年秋冬コレクションは、パリ東部にあるヴァンセンヌ城で開催された。実際にショーが行われたのはその美しい中庭に設置された巨大な白いキューブの中だが、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=クリエイティブ・ディレクターによれば、ヴァンセンヌ城は1846年に創業された「ロエベ」とそのヘリテージを、白いキューブは現代を表すメタファーだという。
ジョナサンはまた、ファッションの美点について、「過去を再訪し、再解釈し、再構築できること」だと語っている。その言葉通り、欧州のラグジュアリーブランドはここのところ“原点回帰”を強めており、2023年はその流れがいっそう進むだろう。
経済的および地政学的な不透明感をものともせずに業績を伸ばしているラグジュアリー企業といえば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「セリーヌ(CELINE)」「フェンディ(FENDI)」「ティファニー(TIFFANY & CO.)」、そして「ロエベ」を擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)だが、同社の傘下ブランドの多くはまさしくブランドの原点に立ち返り、それをモダンに再解釈して大成功を収めている。これを踏まえると、同社を羨む競合が類似した戦略を取るのは自然の摂理だ。
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