ファッション

ユニクロの「最新形」、前橋のロードサイド店をパトロール イケアやコストコも並ぶ一大買い物エリア

 ユニクロは、4月21日にオープンする群馬・前橋の「ユニクロ 前橋南インター店」を公開した。1層約2475平方メートルの店舗は、両端に7メートル四方の巨大ロゴキューブが配置され、周囲の幹線道路を走る車の中からもかなり目を引く作り。佐藤可士和サムライ代表がトータルクリエイティブディレクションを担当し、“これまでの店舗のあり方からさらに進化した、新しいロードサイド店舗”と位置付ける。「店はブランドの理念を発信するメディア。2006年のニューヨークのグローバル旗艦店出店以来、ユニクロと一緒に作ってきたさまざまな店の知見が詰まった最新形」(佐藤代表)として、服を買うだけではない楽しみ方、過ごし方ができる店舗になっている。

 新店は北関東自動車道の前橋南インターからすぐで、敷地の隣では2024年オープン予定の「イケア(IKEA)」が建設中。道路を挟んだ周辺には、「コストコ(COSTCO)」や「ベイシア(BEISIA)」のモール、アウトドア専門店「ワイルドワン(WILD-1)」、アイウエアの「ジンズ(JINS)」などの大型店が並び、一大ショッピングエリアを形成している。

「モノを売るだけの場ではない」

 「ロードサイドでよく見る(ブランドロゴの)塔屋看板はなんだか“昭和”っぽい。ロゴを店舗デザインの中に生かせないかと考え、今回の“ユニクロ ロゴストア”の形を思いついた。ロゴとはブランドメッセージそのもの。だからこそ、ロゴキューブの中に、ユニクロの新しい考え方、モノ(服)を売るだけの場ではないという思いを詰め込んだ」と佐藤代表。その言葉通り、新店の入り口でまず目につくのが、向かって右側のキューブ外壁に配したフラワーコーナーだ。

 生活に彩りを提供するという考えで、フラワーコーナーは20年4月に開業した「ユニクロ パーク 横浜ベイサイド店」から導入している。現在全国15店に広がっているが、北関東エリアではここが初という。店舗の中に足を踏み入れると、キューブの内側はカフェになっており、コーヒー(200円)やカフェラテ(300円)、フラッペ(400円)などを提供している。地元群馬の菓子メーカーから仕入れたクッキー(330円)やクリームどら焼き(360円)もある。カフェの導入は「ユニクロ 銀座店」や同じく銀座の「ユニクロ トウキョウ」に続く3店舗目だという。これまでの2店にはなかった大型テーブルやイスもあり、ほっと一息つける空間。カフェだけの利用もありそうだ。

 反対側のキューブの中はキッズコーナーになっている。滑り台やクッションを設置すると共に絵本も豊富にそろえ、ファミリーが楽しく時間を過ごすことができるようにした。また、一部壁面はスケルトン仕様で、断熱材が見える作り。断熱材の30%には、ユニクロ店頭で回収した衣類を使用している。

「店は社会に開かれているべき」

 売り場の中で注目したいのは、「リ・ユニクロ スタジオ(RE.UNIQLO STUDIO)」を設けた点。世田谷千歳台店でのトライアルを経て、国内では本格導入1号店だ。ニットのほつれ直しや取れたボタンの付け直しなどのリペアに加えて、刺し子(1000円から)などのリメークサービスも行う。

 グラフィックTシャツ「UT」を好みのスタンプのプリント柄などでカスタマイズできるサービス「UTme!」のコーナーでは、同店限定のスタンプを用意した。伝統工芸、高崎だるまの吉田だるま店や、地元で人気の食品企業の登利平、群馬県のゆるキャラ「ぐんまちゃん」など、同店限定スタンプは5種類がある。

 従来のロードサイド店は駐車場と隣り合う形で店舗があったが、新店は駐車場と店舗をつなぐガーデンを設けている点も特徴だ。現在は芝生育成中だが、夏に向けて青々とした気持ちのよい空間になる予定で、ベンチで休憩したり、ピクニック気分で飲食を楽しんだりできる。

 「小売業全てに言えることだが、今の時代はモノを買うだけならECで済む。これだけ大きな店を作るからには、地域や社会に対して開いていて、場を提供していくようなあり方になっていくべき」と佐藤代表。まずは21日の開業から3日間、ガーデン上で地元の朝採れ野菜のマルシェや、キッチンカーを呼んでの弁当販売などを実施。今後もガーデンでさまざまなイベントを行って地域社会とつながると共に、北関東全域からの集客を見込む。

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