三越伊勢丹が提供するVRコミュニケーション・プラットフォームが「レヴ ワールズ(REV WORLDS)」だ。メタバース事業に参入する際、多くの企業が既存のプラットフォームに出展する形式を取るのに対して、「レヴ ワールズ」は、三越伊勢丹が主導してアプリを開発し、12人の社員メインでサービスを運営している。新宿東口をイメージした空間に、仮想新宿伊勢丹だけでなく、仮想スタジオアルタやトヨタのバーチャルショールームなどが並び、雪玉を投げられたり、自転車レースができるなど遊びの要素も備える。サービスを開始から丸2年が経過した。事業発起人の仲田朝彦デジタル事業運営部レヴ ワールズ マネージャーに成果と課題を聞いた。
WWD:アクセスすると、常に何か行われており、“楽しませよう”というホスピタリティーが感じられるようになってきた。この1年弱でも自分で空間をカスタマイズできる「じぶんの部屋」機能の公開や、「東京マラソンバーチャルEXPO 2023」「アメリカンラグシー(AMERICAN RAG CIE)」「エトロ(ETRO)」「バーチャル サロン・デュ・ショコラ」などの期間限定イベント、ハロウイン、クリスマス、正月といった季節行事との連動、直近では防災意識を喚起する地震体験コンテンツと、盛り沢山だ。
仲田朝彦デジタル事業運営部レヴ ワールズ マネージャー(以下、仲田):本当はまだあと10倍ぐらい詰め込みたいのだが、時間とリソースが足りない(苦笑)。理想に対しての達成率でいうと、感覚的にはまだ3〜5%ぐらい。やりたいことは多々あるが、まだまだ時間もかかるし、整えるべきインフラなど、課題がたくさんある。
リアルとの連動が圧倒的な強み
WWD:ECのバーチャル版ではなく、“思い出に残るような体験”ができるサービスを作りたいと語っていたが、この1年弱の間に特に注力したことは?
仲田:最初の1年でリアル連動系イベントがアクセス数も訪問者数も滞在時間も、VRのみのイベントのおよそ3倍になる傾向が見えた。そこでまず、リアルとの連動を強化した。もう1つ、かなり注力したのがゲーミフィケーションだ。雪玉を投げてターゲットに当てたり、自転車レースでタイムを競うなどのゲームを用意して、行きたいショップがなくても「レヴ ワールズ」にアクセスしてもらうための方策を模索した。
WWD:強化に対しての成果は?
仲田:数字は公表できないが、まず、ダウンロード数が大幅に増えた。スポーツ関連のリアルイベントにも参加したことなどによっての新規ユーザーが増え、3月末までに目標にしていたダウンロード数の1.75倍を達成している。逆にリアルで案内しないことには、メタバースの人口は増えないという課題をすごく感じた。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。