ファッション

「トミー ヒルフィガー」のアーカイブを巡る旅 創業時からの変遷をデザイナーが語る

ブランド創業から約40年の時を経てもブランドのDNAであるプレッピースタイルを継承し、時代と共に進化を続けている「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」。このほど、ニューヨークはクイーンズにある倉庫に保管されている、ブランド創業前からのアーカイブを公開した。時代の流れを反映しながら、タイムレスなブランド価値を発信し続けるブランドにとって、アーカイブとはどのような存在なのかをひもとく。

アーカイブルームに収められた
「トミー ヒルフィガー」が
創業時から受け継ぐDNA

普段は一般公開されていないクイーンズの巨大な倉庫に足を踏み入れるとまず、そのアーカイブの量に圧倒させられる。アーカイブが最高の状態で保存されるよう、建物全体の湿度も管理されているという徹底ぶり。さらに「アーキヴィスト」と呼ばれるアーカイブを管理する専門のスタッフが1つ1つのアイテムに対するストーリーやディテールを説明してくれるなど、ブランドにとってアーカイブがどれだけ重要なものなのかが伝わってくる。ここはトミーが生み出すクリエイションのアイデアの宝庫なのだ。

アーカイブルームに入ってすぐの棚には初期のゲームボーイやローラースケート、テディベアのぬいぐるみなど、トミー自身の思い出の品が並ぶ。この部屋にはブランド創業の1985年以前、トミーが高校時代に地元でオープンした「ピープルズ・プレイス(PEOPLE’S PLACE)」のコレクションから保管されている。

その先に広がるのは、年代ごとに並ぶアパレルアイテムの数々で、ブランドを象徴するオックスフォードシャツやチノパンツも豊富に見られる。80年代アメリカの名門私立高校のプレッピースタイルに「トミー ヒルフィガー」のオリジナリティーを加え、国民の“ユニホーム”として浸透していったのだ。今では当たり前となったセーリングシャツやラガーシャツの初期アーカイブも登場し、幅広い層に普及していったことがイメージできる。

最終セクションであるショールームには、最新コレクションとアーカイブをミックスしたスタイリングを展示。どのアイテムがアーカイブか分からないほど「トミー ヒルフィガー」のコレクションはタイムレスであり、ブランド創業時からのDNAが現代まで受け継がれているのだ。

“アーカイブとは、過去とのつながりや
DNAを失うことなく、
ブランドを前進させるもの”

ーーなぜ今、アーカイブツアーを開催することになったのか。

トミー・ヒルフィガー(以下、トミー):今のような時代の中ではブランドの歴史や伝統を理解してもらうことが重要だと考えたから。現在は若い世代を中心に、サステナビリティという観点も含め、ビンテージなどの古着に注目が集まっている。アーカイブは未来へのインスピレーションとして、さらに重要性を増していくと思う。

ーーアーカイブルームはあなたにとってどんな場所?

トミー:過去とのつながりやブランドのDNAを見失うことなく、ブランドを前進させることができる場所。以前は別の場所にあって、ボタンを押すとラックが移動するような形式を採用していたが、さらにスペースが必要になってここに移動した。

アーカイブは私にとって、自分がブランドをスタートしたころを思い出させてくれる非常にノスタルジックなものであり、ブランドの伝統を表現するものでもある。ブランドがどこから始まって、どんな進化を遂げてきたのかをここから読み解くことができる。

ーー普段からどのようにクリエーションのインスピレーションを得ている?

トミー:常に周りを見渡しながら 世界中を旅している。もちろんアーカイブは新しいアイデアを得るための基礎となるが、ソーシャルメディアや旅行、影響力のあるものを見ること、行く先々で若い人たちを見ることなど、常に新しいものを探している。また、異なる時代の写真や写真集を見て、常に自分を教育するようにしている。

ーー物を買わないなど、世の中のファッションへの在り方が変わっていく中で「トミー ヒルフィガー」が目指すものは?

トミー:私たちはライフスタイルブランドでありたいと思っています。服だけでなく、フットウエア、ウオッチ、ジュエリー、フレグランス、ビューティ、アクセサリーにも力を入れたい。それら全ての要素が、ライフスタイルブランドの旅を構成していくはずだ。また、サステナブルなプログラムにも力を入れ、そうした素材を積極的に使うようにしている。常に新しいシェイプやディテールなど、新鮮なものを作っていきたい。

キーワードは“タイムレス”
揺るがない価値を提供してきた
ブランドの原点を辿る

旧アイテムから最新コレクションに至るまで、クラシックな工夫が落とし込まれ、時代を問わず愛され続ける「トミー ヒルフィガー」。ブランドが昔から受け継ぐDNAのストーリーを知れば、よりアイテムに魅了されることだろう。ここでは創業時からの写真とともに、トミーが築いてきたブランドの歴史をたどる。

「トミー ヒルフィガー」
表参道店がリニューアル
クラシックと新しさを融合した
コンセプトストアに

アジア最大規模の店舗である「トミー ヒルフィガー」表参道店が4月28日にリニューアルオープンを果たした。2012年のオープン当初からある構造を生かしながら、トミーが敬愛するアーティスト作品や、アメリカンルーツを感じさせるインテリアアイテムを取り入れ、まるでトミーの自宅に招かれたかのような感覚を呼び起こす。ベーシックラインはもちろん、ディズニー100周年を記念した、マンガ風イラストが好評の「ディズニー X トミー」などの最新コラボラインも並び、幅広いアイテムを一挙にチェックすることが可能だ。

PHOTOS:MASAKO HORI
TEXT:REIKO SUGA
問い合わせ先
トミー ヒルフィガー カスタマーサービス
0120-266-484