4月28日にオープン予定の大型ショッピングモール「ジ アウトレット湘南平塚(THE OUTLETS SHONAN HIRATSUKA)」は、国内モール事業の改革に注力するイオンモールが、これまでとは異なったアプローチで“アウトレット”を解釈した新しいタイプの商業施設だ。
同モールは平塚市北部の大神地区に位置し150店舗が出店、敷地面積13.1万㎡に対して店舗面積(総賃貸面積)は3.3万㎡で、年間来客者数は600万人を見込む。「ジ アウトレット」業態での出店は3店舗目になる。幹線道路の国道129号車を車で20分ほど南下した「ららぽーと湘南平塚」が敷地面積16.6万㎡、店舗面積は6万㎡なので、「ジ アウトレット湘南平塚」の店舗面積は郊外型の大型ショッピングモールとしてはやや小ぶりと言える。ただ、その代わり非商業部分のスペースが大きく、それがこのモールの特徴の一つになっている。
従来のアウトレットモールの目玉は、海外の高級ブランドを筆頭にした人気ブランドだ。そもそも人気ブランドを安価に手に入れられることこそがアウトレットモールの存在意義であることを考えれば当然だ。だが「ジ アウトレット」には、アウトレットモールの最大の目玉であるはずの海外高級ブランドはほぼ出店していない。
文字通りの中心にはグリーン豊かなテラス席
代わって中心を担うのが、体験型・エンターテイメント型のイベントスペースや店舗だ。文字通りモールの中央に位置し、テラス席を多数のグリーンで彩った広大な休憩スペース「大神ビレッジ」、関東最大級の550㎡で出店する「スノーピーク」が監修した人工芝を敷いた共有スペース「イーストコート」、オフィシャルクラブパートナー契約を結ぶ湘南ベルマーレが3面のフットサルコート監修し、サッカースクールも開設する。
「スノーピーク」が出店するアウトドアエリアには、「ロゴス」「ジャック ウォルフスキン」などが出店するほか、同スペースにはテント設営や焚き火を本格体験できる体験スペースを設けており、通りを挟んですぐ向こう側には、同社がネーミングライツを取得した約7000㎡の「平塚大神ジ アウトレット公園」が広がる。テナントも店内にサーキットや本格アーチェリー場を併設したアウトドア専門店の「グリーン サミット(GREEN SUMMIT)」、初の直営店を出店となる家庭用サウナの「サウナ ハウス」に加え、キャンピングカーの新車&中古車のショールームも出店する。
オープンモール型の同モールだが、より周辺との調和を意識した外装デザインになっており、これまで以上に”地域共生”を強く意識していることが伺える。そもそもこのエリア自体が、神奈川県主導の再開発プログラム「ツインシティ計画」の一部であり、イオンモールは今後も神奈川県、平塚市、自治会、そしてイオンモールで構成する定例会議「ツインシティ大神地区タウンマネジメント連絡会議」に月1回のペースで参加する。被災時の復興拠点としての機能や屋上部分へのメガソーラの設置など、イオンモールが全国で積極的な防災・安全・環境保全機能も確保している。
イオンモールが「アウトレット」に取り組む理由とは?
イオンモールは国内で運営委託を含めると約150もの大型モールを運営しており、日本では大型モールのデベロッパーとしては最大手企業だ。ただ、不動産大手で「ららぽーと」などの大型商業施設を運営する競合の三井不動産(以下、三井不)がすでにアウトレットモール「三井アウトレットパーク」を国内外で13カ所運営しているのに対し、イオンモールは今回の「ジ アウトレット湘南平塚」が3店舗目で、この分野では出遅れていた。
イオンモールの「ジ アウトレット」は、先行するアウトレットモールとは明らかに異なる。従来のアウトレットモールの代名詞である「お買い得なショッピング体験」に加え、「地域共生」「体験&エンターテイメント」を加えた3本柱で運営するする、新しいタイプの大型モールなのだ。「ジ アウトレット」は、国内のモール事業改革に取り組んできたイオンモールによる、意欲的な改革プロジェクトの成果の一つと言えそうだ。