ファッション

100円均一のアクセサリーがかなえる幸せの連鎖 10歳から90歳までが笑顔に

 天気の良い週末、以前取材した東京・池ノ上の古着店「フリー(FOLLIEE.)」を半年ぶりに訪問してみた。その日はちょうど町内会の祭りが開催されており、フリーでも“ガラクタ市”と題して、普段は店頭に置かない商品を並べていた。

 目玉の一つが100円均一のアクセサリーだ。小さめのスーツケースに収められた200点ほど。末永竜介オーナーと立ち話をしていると、中高年女性が次々と足を止める。

 次第に店内も活況を呈し、所在なさげにしている僕に高齢の女性が話し掛ける。スーツケースは店先の地面に置かれており、女性は「足が悪く、かがんで見ることができない」と言う。そこで彼女の好みを聞いて、見繕ってあげることに。

 真珠製品が多かったので「どうか?」と聞くと、「私は6月生まれだから(真珠が誕生石だから)売るほどある」とのこと。そこで、カメオを提案してみる。と、「カメオは好き。もっとある?」と彼女。しばらくラリーが続き(聞けば御年90とのこと!)、4点ほどを購入していった。税込400円。

 フリーをあとに、別件やランチを済ませた帰り道、再度店の前を通ると、先ほど以上の混雑ぶり。「儲かってますね」と末永オーナーに声を掛けると、「はい、100円均一コーナーばかり(笑)」との返答。なるほど、品数が3割ほど減っている。

 そんな話の横で、中国人男性が熱心に“宝箱”を漁り出す。目ざとく真珠をピックアップし、「珊瑚はある?」と聞いてくる。先ほど、90歳の女性に商品を選んでいたときカフリンクスがあったことを思い出し、教えてあげる。結局、8点をお買い上げ。税込800円。

 大盛況のガラクタ市だったが、突然の雨で中断。祭りの終了時間も近く、フリーも片付けを始めた。すると、小学生女子2人が「これ、本当に100円?」と質問してきた。「そうですよ」と言うと、しゃがんで宝探しを始めた。

 2人とも5年生で、礼儀正しく終始敬語な子とフランクに話してくる子、性格も違えば選ぶアクセサリーも違う。前者はいわゆる“アクセサリー面したアクセサリー”をセレクトし、後者は鉱石を主役にしたものが好みのよう。暫時あって決定。「アクセサリーなんか買って帰って、パパやママに怒られない?」と聞くと、「お祭りだから、お小遣いをもらってきた」と言う。フランクな彼女は、ママと弟用だと言って3点も買って行った。税込300円。

 その後も店じまいの手を止めるように、次々と女性客が100円コーナーに群がる。熱い戦いはまだまだ続きそうなので、僕はこのあたりでお暇(いとま)することに。

 そうそう、フリーの顧客だという20歳の男の子が店の手伝いをしていて、実家の秋田におばあちゃんがいるという。そこで真珠のネックレスを買って「プレゼントして」と渡した。僕も、テレビシリーズ「特攻野郎Aチーム」の“コング”よろしくなゴールドカラーのロングチェーンネックレスを自分への土産に買った。税込200円。

 10歳から90歳まで、老若男女だし、外国人もいる。ワンコインで人を幸せにするファッションの力を感じた1日だった。

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