「アクリス(AKRIS)」は4月24日、創業100周年を記念して3月にパリで発表した2023-24年秋冬コレクションのショーを、東京・上野の東京国立博物館 法隆寺宝物館で再演した。東京でのショー開催は初めて。
1922年創業の同ブランドは2022年に100周年を迎えた。23年春夏コレクションに続き、今回はアニバーサリーイヤーを祝うコレクションの第2弾となる。創業家3代目のアルベルト・クリームラー(Albert Kriemler)=クリエイティブ・ディレクターは、「未来に向けた“現代服”を提案したい」と話し、ブランドが歩んできた歴史を讃えると同時に次の100年を見据えたコレクションを披露した。
着想源になったのは、クリームラー=クリエイティブ・ディレクターがアトリエで見つけた70年代の型紙だ。「ツイッギーに代表されるように若くてキュートなアイコンが活躍した70年代は、ファッションの歴史の中でも最も若いエネルギーで溢れていた時代だ。当時のパターンを参考に現代服として甦らせることができたら面白いのではないかと考えた」という。
レトロなチェック柄のステンカラーコートとミニスカート、マウンテンブーツを組み合わせたファーストルックは冨永愛が飾った。シフォンドレスやセットアップなどに繰り返し登場した大胆なフラワープリントは、チューリッヒを拠点とする老舗シルクメーカー、アブラハムのコレクションをベースにした。クリームラー=クリエイティブ・ディレクターは、10代の頃にアブラハムのオーナーに連れられてみた「サンローラン(SAINT LAURENT)」のオートクチュールショーは、「いつか自分の理想の服を作りたい」と思った決定的な瞬間だったと振り返る。
「アクリス」のルーツであるエプロンは、当時の「働く女性を象徴する衣服」だった。以来、“Women with Purpose(目的を持つ女性)”のためのファッションを作ることを使命に掲げている。クリームラー=クリエイティブ・ディレクターが「現代における働く女性を象徴する衣服」と考えるスーツは、同コレクションにもハイウエストのフレアのパンツスーツなどで登場した。「上質な素材は、『アクリス』のタイムレスな服に現代性を与えてくれる」とクリームラー=クリエイティブ・ディレクターが説明するように、ダブルフェースを多用することで軽やかに表現した。