「WWDJAPAN」は、2023-24年秋冬シーズンもトレンドを大分析。パリとミラノ、ニューヨーク、そしてロンドンの100を超えるブランドから、キーワード(ムード)、スタイリング、アイテムや素材、色柄、ディテール、そしてバッグ&シューズのトレンドを見出し、豊富な写真と共にまとめました。今まさに23-24年秋冬シーズンのモノづくりを進めている企画担当者、消費者の共感を得るためのキーワードを探しているプレスやEC担当者、店頭での表現方法を考案中のVMD担当者、半年先のコンテンツを考えるメディア関係者、そして店頭スタッフ、全ての業界関係者に読んでいただきたいトレンドをまとめます。(この記事は「WWDJAPAN」4月17日号からの抜粋です)
【Material】
クラシックなムードと豊かな質感を楽しむ素材

■スーツ生地
テーラードジャケットが台頭した今季は、英国の伝統的な紳士服をほうふつとさせるウールなどのスーツ素材が大人気。ドレープを描く薄手の生地から暖かなヘリンボーンツイードまでがそろう。色はグレーや黒、紺が中心で、ピンストライプやチェックも多い。
■レザー&シアリング
レザーとシアリングはアウターやパンツだけでなく、ドレスやスカート、トップスにも用いられている。「パーム エンジェルス」は、アイコンのトラックスーツをレザーで格上げ。定番の黒や茶色だけでなく、バーガンディーやパープルなどのリッチな色使いも目を引く。
■豊かなテクスチャー
質感を楽しむ素材使いも今季のポイント。その表現は、クラシックムードを引き立てるベルベットやコーデュロイから、触り心地の良いテディベア生地、職人技術を注ぎ込んだシャギーなジャカードまで。豊かなテクスチャーでウエアに華やかさをもたらしている。
■サテン
女性性をたたえるセンシュアリティーやエレガンスの表現には、シルキーなサテンが大活躍。スリップドレスやブラトップなどのランジェリーライクなアイテムから、なめらかなブラウス、ドレープを寄せた優美なロングドレスまでに多用された。
■透け感
秋冬とは思えないような透け感のある素材も多い。中心となるのは、レースやオーガンジー、シフォン、極薄のニット。「バリー(BALLY)」のように透け素材同士をはぎ合わせたり、「シャネル(CHANEL)」のように異素材とレイヤードしたり。さまざまな方法で軽やかさが表現されている。
■メタリック
ベルベットやサテンの光沢感もさることながら、メタリックジャージーやラメニット、メタルメッシュなど輝きを放つ素材も広がっている。「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」はゴールドのふくれ織りの凹凸感を生かしたランダムな反射で、きらめきを際立たせた。
【COLOR】
黒などのベーシックカラーと鮮烈な赤がランウエイを席巻!

■ブラック
今季の人気No.1カラーは、黒。オールブラックや白と合わせてコントラストを際立たせたバイカラースタイルが多出した。テーラリングやクラシックからセンシュアリティー、パンク&ロックまで、シーズンを象徴するスタイルに欠かせない色だ。
■レッド
アクセントとして際立ったのは、圧倒的に鮮やかな赤。都市やスタイルを問わず、多くのブランドがキーカラーとして取り入れた。ランウエイでは彩度が高いものが中心だが、少し落ち着いた色味もリアリティーがあって好印象。
■グレー
グレーは、ウール系のテーラリングや質感を楽しむアイテムに多用された。激しい加工がおなじみの「ディーゼル」にも、今季はグレー系のデニムアイテムやカジュアルウエアが充実。「プラダ(PRADA)」のように黒と組み合わせた提案も多い。
■ベージュ〜ブラウン
ベージュからブラウンまでの落ち着きのあるトーンは、「コージー・シック」やクラシックなエレガンスの表現にぴったり。お手本は「エルメス(HERMES)」。光が注ぐ森林での散歩をイメージし、茶系の絶妙な色合いを軸にコレクションを構成した。
■ペールブルー
半年前に広がったニュアンスカラーの中で注目は、淡いブルー。少しくすんだトーンからパステルカラーまでが登場した。重くなりがちな秋冬スタイルに軽やかさをもたらしてくれる。代表格は、黒やグレーと巧みに合わせた「フェンディ」(FENDI)。
■イエロー
赤と並び、黄色もアクセントカラーとして多く見られた。ロングコートやドレスで着こなすのはなかなかハードルが高いが、トップスや柄としてコーディネートの一部に取り入れたり、少し落ち着いた色味を選んだりすると良さそうだ。