「ロシャス(ROCHAS)」のシャルル・ドゥ・ヴィルモラン(Charles de Vilmorin)=クリエイティブ・ディレクターが契約終了に伴い、退任した。2021年2月に24歳の若さで抜擢されたドゥ・ヴィルモランは、わずか2年で任期を終えたことになる。3月のパリ・ファッション・ウイーク期間中にプレゼンテーション形式で発表した23-24年秋冬がラストコレクションになった。今後の体制については、後日発表される予定だ。
ドゥ・ヴィルモランは、19年にサンディカ・パリクチュール校(Ecole de la Chambre Syndicale de la Couture Parisienne)を卒業し、20年4月に自身の名を冠したブランドをスタート。設立から1年足らずで「ロシャス」のクリエイティブ・ディレクターに就任したほか、同年の「LVMHプライズ(LVMH Prize)」と「ANDAMファッション・アワード(ANDAM Fashion Award)」のピエール・ベルジェ(Pierre Berge)賞の最終選考まで残った。ダークなムードとアートのような大胆な色柄使いが持ち味の彼は、瞬く間にパリファッション界の新星の一人になり、早熟な才能と本人の繊細ではかなげなルックスから若かりし頃のイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)と比べる人も多かった。
21年9月に行われた「ロシャス」のデビューショーでは、彼のシグネチャーである渦巻き状のスケッチとクラブキッズの若々しいマインドを融合した破壊的なコレクションを発表。その後は「ロシャス」の伝統に歩み寄ったクリエイションに取り組んだものの、1925年からの長い歴史がありながらも明確なデザインコードを持たないメゾンで、自身のペースをつかむのに苦労していた。
同ブランドの親会社である仏フレグランス大手インターパルファム(INTER PARFUMS SA)のフィリップ・ベナシン(Philippe Benacin)会長最高経営責任者は、「『ロシャス』のレガシーに貢献したシャルルに感謝したい。彼の創造的なビジョンは、ブランドの世界に長く影響を与えるだろう」とコメントしている。