ファッション

「ルイ・ヴィトン」がソウルでショー パリとの架け橋にK -POPスターなど来場

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は4月29日、韓国・ソウルで2023年プレフォール・コレクションのファッションショーを開催した。このコレクションは、パリで発表した23-24年秋冬コレクションよりも早く、5月15日に発売。5日からウェブサイトでオーダーを受け付けるという。会場は、ソウル市内を東西に流れる河川、漢江(ハンガン)にかかる潜水橋。欄干から水を噴き出すアトラクションで有名な橋だ。

 「ルイ・ヴィトン」が誕生したフランス・パリも、今回のショー会場となった韓国・ソウルも、市内の東西を走るように大きな川が流れ、その川や橋、そして周囲の公園などは市民に親しまれている。ニコラ・ジェスキエール(NicolasGhesquiere)は、そんな共通点から、今回のコレクションを組み立てたのかもしれない。23年プレフォール・コレクションは、パリで発表した23-24年秋冬コレクションにつながるものだった。

 23-24年秋冬コレクションは、ニコラが世界各国から集まるデザインチームと共に「フレンチ・スタイルってなんだろう?」を考え抜いて生まれたものという。今回ソウルで発表したプレコレクションは、その考え抜いた「フレンチ・スタイル」の序章にあたるようなものだろう。漢江が東西に流れるソウルのコレクションを経て、セーヌ川が東西を流れるパリで発表した「フレンチ・スタイル」の真髄を追求したコレクションにたどり着くことで、「ルイ・ヴィトン」の今年の秋冬のストーリーは完結する。

 ショーは、コリアン・ミュージックで幕を開けた。ファーストルックは、スタンドカラーのナイロンで作ったバイカーズ風ブルゾンに、パネル状のレザーを重ねたサーキュラースカート、コンバットブーツのようなスニーカーに、大きなメタルバックルのベルトというコーディネートだ。大きなメタルバックルのベルトは23年春夏コレクションを彷彿とさせ、スタイル全体はフレンチシックを追い求めたからこそ23-24年秋冬コレクションに欠けていた、でもニコラが得意とするスポーティなムードを放っている。冒頭は、モードなムード全開。その若々しさは、K-POPカルチャーを筆頭に若々しいバイブスを世界に届ける韓国のエネルギーのようだ。ボディコンシャスなシルエット、中央にファスナーが走るミニスカートなどのコンパクト丈、ジャカードでモノグラムを描いた深いVゾーンのノースリーブトップス、オーバーサイズのジャケット、そして「ルイ・ヴィトン」のアイコニックなウィメンズスニーカー“LVアークライト・ライン”のスニーカー。ヒップハングのパンツや、スパンコールのレオパード柄スカートまで、序盤はとにかくエネルギッシュだ。

 そのムードが変わったのは、小さなモノグラムを集めて“ダミエ”の市松模様を描いたパンツやワンピースが表れる中盤以降から。ピンストライプのセットアップやブロックチェックのツイードで作ったミニドレス、そしてシャーリングを寄せたシフォンのシャツドレスなどが登場し、パリのエスプリ色が強くなっていく。色もグレーやニュアンスカラー、ブラック&ホワイトのモノトーンが増え、歩くたびに大きく揺れるマキシ丈のドレスも現れた。23-24年秋冬コレクションのムードに近づく。終盤には、刺しゅうで少しだけシノワズリのムードをプラス。23-24年秋冬コレクションの終盤に似たスタイルだ。

 韓国・ソウルから、フランスのパリへという流れは、今回のファッションショーに携わるスタッフでも表現された。クリエイティブ・アドバイザーは、大ヒットドラマの「イカゲーム」で監督を務めたファン・ドンヒョク(Hwang Dong-Hyuk)。ファーストルックは、その中に登場した女優のチョン・ホヨン(Hoyeon Jung)だ。メゾンのアンバサダーを務めているNewJeansのへイン(Hyein)を筆頭に、数多くの韓国セレブも来場した。ファン監督が監修したフィナーレでは、潜水橋の欄干から水が放たれ、漢江には水上バイクが走った。

 アフターパーティーには、韓国の5人組ガールズグループのル・セラフィムらがパフォーマンスを繰り広げて盛り上がった。

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