小泉(大阪、郷原文弘社長)傘下オッジ・インターナショナルが展開する紳士服の「ダーバン(D‘URBAN)」が復調している。2023年春夏シーズンはコロナ禍の終息でスーツ需要が回復し、前年比25%増で推移。ビジネスシーンでの一張羅を求める客に向けた、パターンオーダーの強化が奏功している。
同ブランドは20年5月のレナウン破綻後、大阪の老舗・小泉が「アクアスキュータム(AQUASCUTUM)」などともに事業を譲受。子会社のオッジ・インターナショナルが21年春夏から商品を展開している。
「ダーバン」はレナウン時代、ビジネススーツ需要の低下による長年の不振から抜け出すことができなかった。「(事業を受け継いでから)しばらくは再起を目指すフェーズということもあり、商品の仕入れ面は慎重にならざるを得なかった」とオッジ・インターナショナルの企画担当者。既製スーツの仕入れを減らし、在庫リスクの少ないパターンオーダーに力を入れた。輸入生地のバリエーションを拡充し、百貨店でのオーダーフェアなど発信を強化した。「ブランドのメインターゲットである、40代後半〜50代の役職付きのビジネスマンから特に好評」という。ブランドの売上高に占めるパターンオーダーの比率は、レナウン時代の50%から65%まで高まった。
23-24年秋冬は、パターンーオーダー用の生地仕入れ量を前シーズン比1.7倍、既成スーツの商品仕入れ量も同1.4倍にする。パターンオーダーをフックに獲得した客を、本来の強みである既成スーツの購買にもつなげていく狙いだ。既成スーツは価格帯ごと、ニーズに合わせてバリエーションをそろえる。8万〜10万円はエントリー品の位置付けながら国内素材を使用し、「新規のお客さまに『ダーバン』の品質を知っていただく入り口にする」。10万円以上のものはブランドオリジナルのインポート生地で仕立てる。海外のハイブランドと比較すれば値ごろな価格設定で、目の肥えたエグゼクティブ層にアプローチする。