スウェーデン発オーガニックブランド「ラ ブルケット(L:A BRUKET)」が再攻勢をかける。2015年に日本上陸を果たしたものの、コロナ禍の影響を受け20年に既存店舗を全て閉店。ECを主軸としたビジネスにシフトした。3月中旬にはブランド初のスキンケアを投入し、伊勢丹新宿本店地下2階ビューティアポセカリーでポップアップを行い認知拡大に寄与した。このほど「パンピューリ(PANPURI)」などを扱うLUXTECAと日本における正規販売代理店契約を締結し、再出発を図るスタニスラス・ル バート(Stanislas Bert)ラ ブルケットCEOに話を聞いた。
WWD:ボディーケアやホームケアなどライフスタイルブランドとして地位を確立してきた中で、フェイスケアラインを展開する狙いは?
スタニスラス・ル バート=ラ ブルケットCEO(以下、ル バート):「ラ ブルケット」はブランド創始者であるマッツ・ヨハンソンの妻で陶芸家のモニカ キレン(Monica Kylen)が粘土工房で高品質の天然成分を使用した手作り石けんを製造・販売したのがスタート。09年にブランドを立ち上げ、スウェーデン西海岸のヴァールベリに伝わる伝統的な海洋療法(タラソテラピー)をベースに海藻や植物などから抽出した成分を配合したボディーケアやハンドケアなどを展開してきた。タラソテラピーを生かし、肌の基礎力を上げるスキンケアを提案するのは必然だった。
WWD:フェイスケアラインはスウェーデンのシンプルな生活な知恵とバイオテクノロジーを融合して開発した。
ル バート:フェイスケアラインを手掛ける中で、こだわったのはスウェーデンの原料のみを使用すること、オーガニック認証であるコスモス認証を取得すること。ヴァールベリは200年におよぶタラソテラピーの歴史があり、長期間かけて健康や美しい肌を取り戻している。「ラ ブルケット」もウエルネスやライフバランスを尊重する人が顧客なので、根底を整えるには時間がかかることを理解してもらえている。独自のバイオテクノロジー成分であるアルジカを軸に構成する。アルジカは保湿力やデトックス・UV・バリア機能を持つ優れた成分だ。そこにシーバックソーンや紅藻類などをセレクトして配合している。まずは、クレンジング“276 クレンジングオイル”(60mL、税込4510円)“277 クレンジングジェル”(60mL、同3960円)と化粧水“278 フェイスミスト”(60mL、同5610円)、美容液“279 フェイスセラム”(30mL、同1万3310円)、“280 アイクリーム”(15mL、同9350円)、クリーム“281 フェイスフルイド”(60mL、同9680円)“282 フェイスクリーム”(50mL、同1万10円)を扱う。クレンジングは2種そろえるが、オイルは朝、夜はジェルと使い分けもおすすめ。韓国ではアイクリームの売れ行きがよく、アワードも獲得している。ハリと潤いを感じられると好評だ。今後はスペシャルケアアイテムなども手掛ける。
WWD:香りにもこだわった。
ル バート:スウェーデン原産のジュニパー ベリーの香り。スキンケアの象徴的なアイテムである化粧水は浜辺を散歩したときの海と野ばらから香りを再現した。
WWD:フェイスケアラインお披露目を兼ねたポップアップでは新客獲得に寄与した。
ル バート:さまざまな年齢層のお客さまと接点ができた。ジェンダーフリーのブランドであることため男性客も多かった。フェイスケアラインのローンチは韓国と台湾、香港でも行い、韓国では200平方メートルの店舗でポップアップを実施した。韓国は17店舗あり、ハンドセラムやリップバーム、リップスクラブなども支持され好調に推移している。
WWD:日本ではハンドケアラインやリップケアラインも打ち出した。
ル バート:ハンドケアラインはグローバルで昨年展開したが、アジア地域で人気だ。洗う、整える、保湿のステップ提案し、“222 ハンド&ボディウォッシュブルース”(240mL、4290円/450mL、税込5170円)“273 ハンドセラム”(30mL、同7260円) “246 ハンドピーリング”(120g、同6490円)“244 ハンドクリーム エルダー”(30mL、同2530円/70mL、同4510円/240mL、同7700円)の4商品を扱うが、コロナ禍で手のケアの重要性を理解してもらっているので好評だ。リップケアラインは“270 リップスクラブ”(15g、同4840円)“271 リップマスク”(15mL、同5500円)“017 リップバーム”(全2種、各14g、同各2420円)。 世界的に売れているのは“017リップバーム”で、2分で1個売れている(ブランド調べ)が、1分に1個を目指している。
コロナ禍で売り上げ倍増に
WWD:グローバルの売り上げは好調だ。
ル バート:19〜22年はスウェーデンやフランス、ドイツ、韓国、台湾、タイ、香港などの直営店のほか卸を展開する国でも好調で、売り上げはコロナ前に比べて倍増した。売り上げトップ3は、1位がビューティブランドとして確立しているスカンジナビア。2位が直営店を拡大中のスウェーデン、3位がブランドの地位が確立している韓国。次いでフランス(eコマース売り上げは2位)、越境ECが好調な中国となっている。
WWD:日本も15年に初上陸、18年に日本初の路面店を表参道にオープンし、堅調に推移していた。
ル バート:私は19年にCEOに就任し日本へリサーチに来たが取り扱い店舗も多くマスブランドのような印象を受けた。ブランドの並びなどにも疑問を感じた。その後、韓国へ行き、フランスに戻った3日後にロックダウンが始まった。ライフスタイルブラドであることからも他国はコロナ禍でも売り上げは好調だったが日本は厳しかった。そこで全店舗を閉店し、グローバルのeコマースのみにした。日本からの注目も増えたので22年12月に日本向けECサイトを立ち上げた。さらに信頼のおけるパートナーのLUXTECAと正規販売代理店契約を締結し、ブランドの日本代表として関わってもらった。
WWD:日本は今年再出発となる。
ル バート:日本はブランドを再構築する。台湾や韓国などの観光客が増えているので売り上げ拡大が見込めそうだ。現状はeコマースと伊勢丹新宿本店アポセカリーでの展開のみだが、近い将来に日本の売り上げが大きなシェアになれれば。直営店の開設も視野に入れているし、今後も革新的な商品や仕掛けをしていくので期待してほしい。