「ディオール(DIOR)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「セリーヌ(CELINE)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などを擁するナンバーワン・ラグジュアリーコングロマリット、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON、以下LVMH)はどのように誕生したのか。”カシミヤを着た狼”の異名を持つベルナール・アルノー会長兼CEOがどのようにLVMH帝国を築いてきたかを知ることができるドキュメンタリー「カシミヤを着た狼 〜Kingdom of Dreams〜」全4話(英2022年)がオンライン動画配信サービスHuluで5月17日から独占配信される。
第1話はLVMH草創期。「ディオール」や「ジバンシィ」など、輝きを失っていたブランドをアルノー会長が獲得する80年代から90年代半ばまでが描かれる。
第2話はジョン・ガリアーノの起用とハンドバッグがビジネスの基幹になる契機となったメットガラでの出来事や、トム・フォードによって「グッチ」が復活する様子が紹介される。
第3話は「ジバンシィ」に起用されたアレキサンダー・マックイーン、「グッチ」に対抗して「ルイ・ヴィトン」のウィメンズウエアを任されたマーク・ジェイコブス、「サンローラン」を手掛け酷評されたトム・フォードと、マネーゲームに翻弄され、重圧に耐えきれなくなっていくデザイナーたちの様子が描かれる。
第4話は、トム・フォードが追い出されても人気が続く「グッチ」、ガリアーノが壊れていく一方で「売り上げが6倍になった」と喜ぶアルノー会長、重圧と孤独に耐えきれなくなり自殺したマックイーンと、華やかに見えるラグジュアリーブランドビジネスの陰の部分を明らかにしている。
1990年代のガリアーノやマックイーン、トム・フォード、マーク・ジェイコブスによる才気あふれるコレクションはもちろん、アルノー会長が生家を訪れ、「ディオール」買収を父親と決断した時を振り返ったり、アルノー家のホームビデオが公開されるなど、貴重な映像が盛り沢山。デザイナーとブランドのフィクサーとして大きな影響力を持ったアナ・ウィンター米「ヴォーグ」編集長、ホワイトナイトとして「グッチ」をLVMHの買収から救ったPPR(現ケリング)のフランソワ・ピノー会長の当時の映像や、帽子デザイナーのスティーブン・ジョーンズやグッチCEOだったドメニコ・デ・ソーレなどが当時について語る映像が交錯し、ドキュメンタリーでありながら、まるでドラマを見るよう。その後の20年でさらに拡大したLVMH帝国の礎が理解できる。