フランスのラゲージブランド「デルセー(DELSEY PARIS)」は4月29日、世界初となるコンセプトストアのデルセーラボ(DELSEY LAB)を東京・原宿のキャットストリートにオープンした。コロナ禍を経て再び旅行需要が高まる中、アジアでの展開の新たな一歩となるユニークな店舗とアイテムを通して、日本の若い世代やアジアからの旅行者にブランドをアピールする。
世界で唯一の“ラボ”が原宿に誕生
1 / 3
デルセーラボのグローバルコンセプトを手掛けたのは、演出家でありプロデューサーの山田淳也。1階はアーティストや他社とのコラボレーションを展開するための“実験室”となるギャラリーで、現在は日本人アーティストBEYによる「和」の文化と「世界旅行」を融合したポップアートのようなカラフルでダイナミックなイラストが壁から床や天井までを覆う。一方、2階には飛行機内の壁を再現。窓の部分にはデジタルアートを映し出し、訪れる人をファンタジーの旅へといざなう。
キャットストリートという立地にちなみ、所々に猫のモチーフが登場するなど、遊び心を感じる仕掛けもポイントだ。そんな店内には、数量限定モデルをはじめ、スーツケースやトラベルバッグからバックパック、トート、革小物までをラインアップ。それだけでなく、カンファレンスやライブなどのさまざまなイベントを行い、人々がつながる場所を目指す。
ラゲージのニーズは、
“必需品”から“憧れ”にシフト
1946年にパリで創業して以来、「デルセー」は時代によって変わる旅行者のニーズに寄り添い、旅をより安全で快適にするためのイノベーションに取り組んできた。その中で、二重構造の強化ファスナーによって盗難への抵抗力を高める“ジップ セキュリテック”や取り外して洗濯可能なライニングなどが生み出された。
新型コロナウイルスのパンデミックを経て再び世界が開かれた今、来日したダビデ・トラクスラー(Davide Traxler)最高経営責任者(CEO)がラゲージのニーズにおいて感じているのは「“必需品”から“憧れ”へのシフト」だとし、次のように説明する。「コロナ前は、必要に迫られてスーツケースを買う人が多く、黒やダークグレーの機能性が高いものがベストセラーだった。一方、コロナ収束後は、さまざまなブランドがラゲージを“スタイル”として打ち出すようになった。そういった変化に私たちもスピード感を持って対応し、楽しい配色やデザインで憧れを創出する製品を提案している。実際、今はアイボリーやグリーン、茶色が人気だ」。
今回オープンしたデルセーラボについても、「2022年1月にデルセージャパンを立ち上げ、今年1月に来日してキャットストリートのホワイトアトリエ バイ コンバース(WHITE ATELIER BY CONVERSE)を訪れた際にこの立地を見つけた。それから構想の具現化を進め、約3カ月でオープンにこぎ着けた」と明かす。
目指したのは、
「ラゲージストアに
楽しさをもたらすこと」
1 / 7
新たな業態となるデルセーラボで目指したのは、「ラゲージストアに楽しさをもたらすこと」とトラクスラーCEO。「ここでは、通常とは異なる素材や加工、仕上げを生かした1モデルにつき数点のみの限定モデルを数多く提案する。だからといって、エクスクルーシブ(排他的)なブランドになりたいわけではない。ラゲージのプロでありながらより身近な『デルセー』が大切にしているのは、インクルーシブ(包摂的)であることだ。この店は、訪れた誰もが特別なモノを見つけられる場所。そこに値段は関係なく、“特別”な人に向けた“特別”なアイテムを次々と打ち出していく。それは、旅路を共にする親友のような存在になるだろう」と話す。そして、絶えず変化するアイデアは商品のラインアップだけでなく内装にも反映され、「アーティストによる1階の装飾や2階のデジタルアート作品は、3〜4カ月ごとに変える予定」だという。
主要都市に出店
今後について尋ねると、「デルセーラボに関しては、ふさわしい立地が見つかれば出店する」とコメント。その理由を「キャットストリートは、必ずしもラグジュアリーやエクスクルーシブというわけではないが洗練されていて、若々しいエネルギーに満ちた場所。そのようなロケーションは、世界でも極めて少ないから」と付け加える。また日本では、来年中にラボとはコンセプトが異なる通常のショップの3店舗オープンを計画。主要都市への出店を通して、ブランドの認知向上とビジネス拡大に取り組む。
営業時間:11〜20時
住所:東京都渋谷区神宮前6-15-4
定休日:火曜日
デルセーラボ
03-6427-5519