染色加工大手の小松マテーレの2023年3月期の連結決算は、売上高が前期比12.7%増の354億円、営業利益が同0.7%増の16億円、経常利益が同21.8%減の16億円、純利益が同48.8%減の11億円だった。経常利益と純利益の減少は為替予約解約損が約6億円と、前年の有価証券売却益の反動によるもの。同社が強みを持つ高級向けの合繊テキスタイル販売が絶好調で、海外売上比率は前年から5.8ポイントアップし、40.3%に上昇した。佐々木久衛社長(70)は「海外、特に欧州のラグジュアリーブランド向けの販売が好調だった。この数年コロナ禍などで設備投資には慎重だったが、今年からは攻めに移る」として、設備投資を積み増す。23年3月期に約9億円だった設備投資を今期は18億円に引き上げる。
部門別では衣料ファブリックが18.1%増の256億円。全体の6割を占める北米や欧州の有力ブランド向けのテキスタイル販売が20.7%増と大幅に伸びた。
その一方で、原料及び燃料価格は前期から約20億円上昇し、利益を圧迫、増収分をほぼ打ち消した。「染色時に大量に使用するLNGやC重油などの燃料価格は倍以上に上昇しており、現在も続いている。省エネ設備などを導入しているが、焼け石に水のような状況だ」として24年3月期は価格転嫁を強化する。
24年3月期の見通しは売上高が前期比3.0%増の365億円、営業利益は12.8%減の14億円、経常利益は同15.8%増の19億円、純利益は同56.4%増の17億円。
また、6月23日付で中山大輔・専務取締役(53)を、代表権のある代表取締役専務に昇格させる。これで代表権のある取締役は佐々木社長を含め2名体制になる。