アシックスの2023年1〜3月期は、売上高が前年同期比44.6%増の1522億円で過去最高(2014年の変則決算期を除く)だった。スポーツイベントが本格的に再開され、幅広い競技で商品ニーズが高まった。
主力のパフォーマンスランニングが同32.6%増の779億円、テニスやバスケットボールなどのコアパフォーマンススポーツ(CPS)が同122.4%増の227億円、スポーツスタイル(SS)が同90.8%増の154億円だった。同ブランド着用選手のマラソン大会での活躍や、テニスのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)選手らを起用したマーケティング施策も奏功した。また前年同期は生産体制が不安定で、商品不足が目立ったため、伸び率も大きく出た。廣田康人社長は「(ランニング以外でも)それぞれの地域ごとに人気な競技で優位性を見せている。CPSとSSは、これからさらなる存在感を示していくはず」と語る。営業利益は同119.9%増の221億円で、これも過去最高だった。純利益は同86.9%増の163億円だった。
日本市場のインバウンド売上高は15億円で、増収に貢献した。コロナ前の19年1〜3月期は20億円だった。「(コロナ前に近づくほど)強く需要が出ている。中国人の来日が本格化したら、さらに広がるだろう」と廣田社長は期待する。
23年12月期の連結決算予想は、2月の発表を据え置き、売上高が前期比5.2 %増の5100億円、営業利益が同8.8%増の370億円、純利益が同0.6%増の200億円を見込む。「商品投入と重なる第1四半期は数字が大きく出やすい。第2四半期の動向を見ながら、必要があれば修正する」。