ファッション

「クレイグ グリーン」2017年春夏ロンドン・メンズ・コレクション

REPORT

スポンテニアスの先駆者、「ヒモがダラダラ」からいち早く決別

ヒモがダラダラと垂れ下がる洋服の増殖が止まらない。2017年春夏ロンドンメンズは、洋服のあちこちにヒモを取り付け、垂らしたり、結んだり、繋げたりすることでフォームが千変万化する、着る人に解釈の余地を残す「スポンテニアス(英語で『自由な』や『気ままな』の意味)」というトレンドを継続。特に若手はスポンテニアスにご執心で、切りっぱなしの、アシンメトリーの洋服に何本ものコードを取り付けた洋服は、ちょっぴり食傷気味なくらいだ。

 そんなトレンドの先駆者は、「クレイグ グリーン」だ。ロンドンではこれまで、コム デ ギャルソンのドーバー ストリート マーケットがエクスクルーシブで販売し、移転・増床した新ショップでは大きなコーナーを構えたる注目のブランドだ。しかし「クレイグ グリーン」は17年春夏シーズン、引き続きスポンテニアスでありながらも、“だらしなさ”の原因になりかねないコードを極力排し、有象無象の若手とは違うことを声高らかにアピール。「スポンテニアス」の新たな表現方法を打ち出した。

 今シーズンのインスピレーション源は、自身も幼少期に携わったボーイスカウトだ。厚手の布の裾にハトメを無数に打ち付け、ヒモを通すことでパーツとパーツをつなげた洋服は、少年たちが寝転がるテントのイメージ。さまざまなパターンの生地をヒモでつなげたり、離したりすることで思い通りのフォームを作るスポンテニアスな洋服だが、そのヒモはダラダラと垂れ下がることなく、他ブランドよりもずっとクリーンだ。これに続くのは、ヘムラインにマルチカラーのボーダーを加え、大きなスカーフでウエストマークする中綿入りのベストとハイウエストのリラックスパンツを主軸としたスタイル。大きなスカーフは表と裏で色が異なるり、やはりヘムラインにはマルチカラーのボーダーを加えている。体にグルグル巻き付けると、スカーフのさまざまな色は体を縦横無尽に駆け巡り、予想さえしなかったカラーブロッキングが現れる。ベストに布を巻き付けただけというシンプルなスタイリングながら、さまざまな色合わせが楽しめるスポンテニアスなスタイルだ。

 体に巻き付けたボディバッグは、スカーフ同様、つけ方次第で洋服のフォームを変える小道具としても機能する。マチのないバッグは、少年たちの野外のコミュニケーション手段である手旗信号の旗から着想したものだ。

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