英チャールズ国王(King Charles III)の戴冠式が、5月6日にロンドンのウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)で行われ、世界各国の王室メンバーや政府要人、著名人らが多く参列した。中でも話題を集めたのは、王妃や公妃ら高位女性メンバーによる着こなしだ。軍服や伝統的な儀礼服を着用したチャールズ国王、英国デザイナーによる特注ドレスや伝統服を身にまとったカミラ王妃(Queen Camilla)やキャサリン皇太子妃(Catherine, Princess of Wales)を引き立てる装いが見られた。ここでは、9組のスタイルにスポットを当て紹介する。
会場に最初に到着したのは、モナコのアルベール2世大公(Albert II, Prince of Monaco)とシャルレーヌ公妃(Princess Charlene)。競泳の元オリンピック代表選手としても知られる45歳のシャルレーヌ公妃は、エレガントなクリーム色のアンサンブルを着用した。肩から背中へ流れるドレープやボタン使いが印象的なセットアップ。帽子とパンプスも同じトーンで合わせた。
王室メンバーの中でもベストドレッサーとして一目置かれているのが、スペインのフェリペ6世国王(King Felipe VI of Spain)とレティシア王妃(Queen Letizia)夫妻だ。レティシア王妃は今回、ビビッドピンクのペンシルスカートと胸元に刺しゅうを施したペプラムジャケットのセットアップを着て登場した。手掛けたのは、「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」のウェス・ゴードン(Wes Gordon)=クリエイティブ・ディレクター。セットアップに合わせて、同系色のレースをつけたつば広帽子とスリングバックシューズ、クラッチバッグを選び、華やかなコーディネートを披露した。
ヨルダンのアブドラ2世国王(King Abdullah II of Jordan)とラーニア王妃(Queen Rania)も夫婦そろって姿を見せた。スペインのレティシア王妃とファッションのテイストが似ているとも言われるラーニア王妃だが、今回は、レモンイエローのパステルカラーをセレクト。豪クチュールブランド「タマラ ラルフ クチュール(TAMARA RALPH COUTURE)」によるシルククレープで仕立てられたIラインのドレスは、大きなリボンを象ったオフショルダーのデザインが印象的だ。手には「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のアイコンバッグ“ノット(KNOT)”を、足元には「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」のパンプスを合わせた。
オランダのウィレム=アレクサンダー国王(King Willem-Alexander of the Netherlands)に連れ添ったマキシマ王妃(Queen Maxima)は、クチュールブランド「ジャン・タミニャウ(JANTAMINIAU)」を手掛けるオランダ出身のデザイナー、ジャン・タミニャウがあつらえた白いドレスを着用。
ノルウェーのホーコン王太子(Crown Prince Haakon of Norway)と参列したメッテ=マリット王太子妃(Crown Princess Mette-Marit)は、ヘッドピースから手袋、パンプスまで、控えめなピンクベージュでまとめた。ドレスは、2016年に「ロベルト カヴァリ(ROBERTO CAVALLI)」のデザイナーを退任し一線から退いていたピーター・デュンダス(Peter Dundas)によるもの。今年3月に開催された23-24年秋冬パリ・ファッション・ウイークで4年ぶりに自身のブランドでカムバックしたばかり。
ギリシャのマリー・シャンタル王太子妃(Crown Princess Marie-Chantal of Greece)は、ギリシャ出身のデザイナーで、ロンドンを拠点に活動するメアリー・カトランズ(Mary Katrantzou)にドレスをオーダー。ライトブルーが上品なフレアスカートに仕立てた。スタイリングのアクセントにしたのは、「オランピア ル タン(OLYMPIA LE-TAN)」のバッグ“ブック クラッチ(BOOK CLUTCH)”。義母であるアンナ=マリア王女(Queen Anne-Marie)と夫のパウロス王太子(Crown Prince Pavlos)と参列した。
タイのワチラロンコン国王(King Vajiralongkorn of Thailand)とスティダー王妃(Queen Suthida)は、重厚感のある宝石を散りばめた伝統的な正装着で出席した。また、マレーシアのアブドラ国王(Yang Di-Pertuan Agong XVI of Malaysia)とラジャ・プルマイスリ・アゴン王妃(Queen Raja Permaisuri Agong)も同じく、エンブレムやジュエリーが印象的な装いだ。
この他に、日本の秋篠宮文仁親王と秋篠宮妃紀子さま、ベルギーのフィリップ国王(King Philippe of Belgium)とマティルド王妃(Queen Mathilde)、デンマークのフレデリック王太子(Crown Prince Frederik of Denmark)とメアリー王太子妃(Mary, Crown Princess)、モロッコのララ・メリエム王女(Princess Lalla Meryem of Morocco)、レソト王国のレツィエ3世国王(King Letsie III of Lesotho)とマセナテ・モハト・セイーソ王妃(Queen Masenate Mohato Seeiso)、ブータンのジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王(King Jigme Khesar Namgyel Wangchuck of Bhutan)とジェツン・ペマ・ワンチュク王妃(Queen Jetsun Pema)、アロイス・フォン・リヒテンシュタイン皇太子(Alois, Hereditary Prince of Liechtenstein)とゾフィー妃(Princess Sophie)、スウェーデンのカール16世グスタフ国王(King Carl XVI Gustaf of Sweden)とヴェステルイェートランド女公爵ヴィクトリア王太子(Crown Princess Victoria)らが国を象徴する民族着やフォーマルウエアをまとい、盛大な式典に駆けつけた。