ロート製薬は5月11日、美容医療視点で作り上げた新ブランド「ダーマセプトRX」の発売を開始した。製薬メーカーとして培ってきた医療機関での研究と、「オバジ(OBAGI)」「エピステーム(EPISTEME)」などを手掛けるスキンケア事業で培われた美容研究を融合。同社オンラインショップ専売の“RX”と医療機関専売の“RX ステムアドバンス”の2シリーズを用意し、コスメティックとメディカルを融合させた“機能性化粧品(コスメシューティカル)”を訴求していく。
コロナ禍を経て消費者の関心が高まるスキンケア市場は消費者の商品選択が成分や機能軸にシフトし、美容医療も身近な選択肢になっている。また、シミの治療補助となるハイドロキノン、ニキビの治療補助となるアゼライン酸、エイジングケアの治療補助となるビタミンA誘導体(レチノイン酸)、ビタミンA誘導体(レチノール)など、医療で使われている成分を高濃度で配合した海外化粧品も個人輸入などで手軽に手に入る現状があり、高濃度配合の商品を知識なく使用して肌トラブルを起こす状況も増えている。そこで、安全・安心な商品作りと販売フロー構築、消費者のリテラシー向上を目指し、製薬会社発想の高品質・高成分な商品と、それをオンラインで購入できる体制を整えた。今後は市民講座や美容皮膚科学会で機能性化粧品の在り方や正しいスキンケアの情報を発信していく。
オンライン専売品はハイドロキノンとデルタ型ビタミンEを配合した美容クリーム“HQセラム”(6g、7150円)、ピュアビタミンCとデルタ型ビタミンEを配合した美容液“VCEセラム”(10mL、7150円)、アゼライン酸を配合した美容クリーム“AZAセラム”(15g、4950円)のほか、保湿ミルクの“モイストミルク”(50mL、3850円)、SPF 50+、PA++++の日焼け止め“バリアUV”(25mL、3850円)の5アイテムをラインアップ。クレンジング・洗顔の後、化粧水に続けて“VCEセラム”を使用し、その後“モイストミルク”、高機能セラムの“HQセラム”か“AZAセラムというステップを推奨するが、セラム3品の同じ部位への併用は控えるよう訴える。オンライン購入時には医療機関で行う問診や使い方指導の考え方をベースにした独自のセルフスキンケアチェックや使用前のセルフテスト、3カ月使用したら3カ月肌を休ませるインターバル法の推奨などを行うほか、専任のスキンケアカウンセラーを常駐させた専用ダイヤルの開設など、正しく商品を使用するためのサポート環境を整えた。
医療機関専売の「ダーマセプトRXステムアドバンス」ラインは、百貨店での対面販売にこだわる「エピステーム(EPISTEME)」同様の幹細胞上清化粧品で、美容液“ステムアドバンスセラム”(30mL、3万8500円)とフェイスマスク“ステムアドバンスマスク”(2セットで1万3200円)で構成する。取り扱い医療機関は、まず100件を目指す。
同日に行われた発表会には杉本雅史ロート製薬社長も登壇。「当社ならではの強みは事業領域をつなぎ合わせられるという点がある。医薬品、スキンケア、機能性食品をコア事業として、医療眼科領域、再生医療、開発製造受託の6つを中期事業戦略に掲げているが、再生医療とスキンケアの事業は細胞を扱うという点で共通している。皮膚の細胞研究と医療、美容の着眼点で、これまでにない製品を開発できるようになった」と語り、「ロートスキンケアサイエンスと称して発表するのはこれが第1弾。6月以降も驚くような発表が控えている」と今後の展開について含みを持たせた。