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島精機は4期連続の営業赤字 23年3月期

島精機製作所の2023年3月期連結業績は、売上高が378億円と前期比22.2%増と大きく伸びた。一方、営業損益は赤字幅が縮小したものの、21億円の損失で4期連続の営業赤字となった。また、香港におけるのれんの一括償却を行ったため、特別損失として約34億円を計上し、純損失は56億円の最終赤字となった。赤字の要因は、売上総利益率が前年より3.7ポイント改善したものの、部品や原材料費、物流費、資源価格の高騰により、依然36%台にとどまっていることに加え、海外の人件費増で販管費が膨らんだことが挙げられる。

島三博社長は「赤字を脱却して必ず黒字化するという強い決意でのぞんだが、部品調達難や部材の高騰に襲われた。受注の引き合いがあるにもかかわらず、受注に結び付かない、納期が確定できないといったことが起き、非常に困難を極めた1年だった」と語る。部品調達は今年1月には正常に戻ったものの、価格の高止まりが続いており、原価押し上げの要因になっている。部材価格は徐々に下降すると予想するが、下がらないという前提で社内での自助努力によるコストダウンに取り組む考えだ。

事業セグメント別では、横編機事業の売上高が同32%増の273億円。イタリアを中心とした欧州市場と中東のトルコ市場で設備投資が活発になってきたほか、アセアンやバングラデシュの設備投資が回復した。ただ、ゼロコロナ政策の中国で設備投資が冷え込んだほか、部品調達難による納期遅延もあった。横編機の販売台数は7427台で前年より70%増。ただ中国のローカルアパレルでの設備投資が停滞したため、次世代の主力機と位置づける「ホールガーメント」横編機の販売は低調だった。デザインシステム関連事業の売上高は、同23%増の35億円。アパレルの3Dデザインシステム「エーペックスフィズ(APEX FIZ)」のライセンス契約数が452と前年より大幅に伸長し、主に欧州や日本のアパレルでサブスクリプション型ソフトウェアの採用が進んだ。自動裁断機「ピーキャム」は113台から137台に増えた。

地域別の売上高は、日本市場がほぼ横ばいの70億円、イタリアを中心とした欧州市場が同23%増の107億円、中東のトルコ市場が同35.5%増の29億円、アジア市場が同27.6%増の145億円。アセアンとバングラデシュでの旺盛な設備投資によって、中国での落ち込みをカバーした格好だ。

ただ、事業環境は依然厳しい状況が続いているため、24年3月期を最終年度とする中期経営計画の経営目標数値を下方修正した。これにより、24年3月期の連結業績は、売上高430億円、営業利益10億円、経常利益17億円、親会社株主に帰属する当期純利益は12億円を予想。粗利益率の向上と販管費の抑制に努め、5期ぶりの黒字を転換をめざす。

島社長は「この間、社内公募で始めた県産品農産物の販売サイトや女性活躍のための学童保育事業、リサイクル牛乳パックで作った糸の販売事業など新規事業がいい感じで育ってきている。新しい分野にもチャレンジし、若い世代を中心とした新生シマセイキで赤字から脱却したい」と決意を述べた。

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