アディダス(ADIDAS)は、カニエ・ウェスト(Kanye West)ことイェ(Ye)と手掛けていた「イージー(YEEZY)」関連商品を販売し、その収益をチャリティー団体に寄付することを明らかにした。同社は2022年10月にイェとのパートナーシップを解消。これに伴い、「イージー」事業も終了しているため、およそ12億ユーロ(約1776億円)相当の在庫に関する対応が注目を集めていた。
「アディダス」とイェは15年2月に初めて協業して以来、継続してスニーカーやアパレルを発売して大きな成功を収めてきたが、イェの反ユダヤ主義的な発言を含むヘイトスピーチや相次ぐ問題行動から約7年半にわたる関係を解消した。23年1月に現職に就任したビョルン・グルデン(Bjorn Gulden)最高経営責任者(CEO)は、3月に22年12月期決算を発表した際、「イージー」の在庫について廃棄や被災地への寄付、リサイクルなどのさまざまな方法を検討していると述べていた。
今回の決定については、5月11日に行われた株主総会で明らかとなった。グルデンCEOは、収益はイェの発言や問題行動で傷ついた人々を代表する支援団体などに寄付すると説明。しかし、具体的な団体名や販売方法、収益の一部もしくは全額を寄付するのかなどの詳細については言及しなかったという。
アディダスの業績は、22年1~9月は好調に推移していたものの、イェとのパートナーシップ解消以降の10~12月期(第4四半期)の売上高は前年同期比1.3%増(現地通貨ベースでは同1%減)の52億500万ユーロ(約7703億円)と苦戦。同社はこれについて、「『イージー』事業の終了に伴うマイナスの影響が約6億ユーロ(約888億円)あったため」としている。なお、5月5日に発表した23年1~3月期(第1四半期)の売上高は同1%減(現地通貨ベースではほぼ横ばい)の52億7000万ユーロ(約7799億円)だった。