アナ・スイ(Anna Sui)は、松任谷由実のデビュー50周年を記念した全国アリーナツアー「The Journey」で、バンドメンバーやパフォーマーの衣装を含む全衣装をデザイン、監修した。5月13日、神奈川県のぴあアリーナMMからスタートした同ツアーは、海賊船の船長である松任谷がオーディエンスを乗せて航海の旅に出るというコンセプトだ。
オープニングの衣装では、ナポレオンが愛用していたことでも知られる海賊のアイコニックな帽子、ビコーン風のハットにジャケット、ストライプのタイトなパンツにヒールのあるロングブーツを合わせた。ジャケットには、ハートや十字架のモチーフ、ビジューなどで装飾を施した。
マーメイドを思わせる水色のミニドレスには、アシンメトリーなシルエットを採用した。透け感のある軽い素材や細かなビジューを取り入れ、ステージ上で動きが映えるデザインに仕上げた。オープニングに続くパンツスタイルの2ルック目は、シルバーを基調にした。ジャケットは裾が広がるシルエットで、バックには松任谷のイニシャル“Y"とかけて、逆さにしたピースマークをデザインしている。バックバンドのメンバーには、ボーダーのトップスにデニムパンツを合わせたスタイルを、パフォーマーには、ペイントを施したデニムのセットアップなどを用意した。
アナと松任谷は同世代で、同じ時代をクリエイターとして歩んできた。今回の協業は、アナからのオファーによって実現したという。
アナは協業が実現した喜びを次のように表現した。「何て光栄な事でしょう!こんなにも素晴らしいプロジェクトに参加できるなんて。Yumiはかけがえのない伝説的アイコンだから。東京とニューヨーク。メールでの制作ディレクション、オンラインでのフィッティング・チェック。 遠く離れた距離を感じる事はなく、アメイジングなチームとそのプロセスを共有しながら、全てが一つにまとまり、 衣装に完成していくのを見届けることができ、エキサイティングなクリエーションとなった。同じ時代を走ってきたYumiと彼女のクリエイティブには、強いシンパシーを感じる。Yumi!50周年コンサートツアー、おめでとう!この壮大なプロジェクトを通してお祝いできる事が何より嬉しい」。
松任谷もアナへのシンパシーを語った。「アナ・スイがユーミンのステージ衣装を作りたがっていると、彼女のエージェントから連絡があったとき、私は一も二もなくお願いすることにした。アナと面識はなかったけれど、そのスタイルは、90年代に充分に体験していたし、アジアンならではの色調と少しキッチュなロックテイストがとても好きだった。そして本当に偶然、昨年の夏ごろ“ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~!”のビジュアルがあがって来たのを見て、『これってまるで、アナ・スイがデザインしたトゥーランドットみたいだよ!』と周囲に言いまくった。そのすぐ後のオファーである。 呼んでる。呼ばれてる。来てます。来てます。もはや、このツアーが掲げるコンセプト"ヒッピー パイレーツ"を表現するコスチューム は、アナ・スイをおいてほかにないと思った。アナと私はほとんど同年代で、世界の遠く離れた町に生まれ、少女期にファッションに目覚め、間違いなくロックの洗礼を受け、それぞれのキャリアを積んできた。今、長い時を越え、チューニングを合わせることが出来た。一緒に大事なバイブスを発信する機会がやって来たようだ」。
松任谷は、昨年7月5日にデビュー50周年を迎え、10月4日には「ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~」を発売し、史上初めて1970年代、80年代、90年代、2000年代、10年代、20年代の6つの年代でアルバムセールスランキングの首位を獲得した。今回のツアーは、自身のキャリアの中で最大規模となり、全54公演で57万4000人を動員する予定だ。