ファッション
連載 今週の特集お届け隊

人材不足に打つ手はあるか【今週の特集お届け隊】2023年5月15日号

 

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年5月15日号からの抜粋です)

林:コロナ禍が明け、お客さんが店に戻ってきたが、働き手が足りないことが、大きな経営課題になっています。これまでの人手不足とはレベルが違う。「どうする!?人手不足」と銘打って特集しました。

中村:ビューティ業界も同じ状況で、中でも美容師は最たる職種です。資格を持っている人のパイの奪い合いで、即戦力で顧客も連れてきてくれる中途が求められています。実力のある中途は圧倒的に「業務委託(集客は店舗が行うが、報酬は歩合制)」を希望します。彼らを獲得するために業務委託サロンを作るところもあります。

林:アパレルの焦点は販売員です。アンケートでは回答企業の8割が人繰りに苦労している。さらに本音を探るべく覆面座談会も実施しましたが、まずアルバイトも社員も新規採用が難しい。昔はファッションが好きだから就職という若者が少なくなかったけれど、今は拘束時間が長く、GWや正月も働き、給料が安いと敬遠されてしまう。「好き」に頼り過ぎてしまったツケが回ってきている。他の業種の給料が上がっている中、「やりがいだけで頑張ってくれ」はもう通用しません。

中村:美容師には、わずかな光明も見られますよ。1つは、出産や育児で離れた休眠美容師の復帰。「チョキペタ」は、白髪染めなど難易度が低い業務のみに絞って携わってもらうことで復帰しやすい環境を作っています。もう1つが外国人の採用です。今年東京都が許可し、「TAYA」が業界で初めて3人採用しました。日本の美容学校には留学生がいっぱいいますが、仕事をしたければ自国に帰るしかなかったんです。

林:働き方に自由度を持たせると、遅番や休日の勤務が不人気だったりして、店長や社員の負担が大きくなったりするのも難しいところだね。販売員のSNS発信が売り上げにつながり、貢献度が見えやすくなった。でも地味な店舗業務をやっている人のモチベーションを維持するのが難しい。

中村:美容師に会社を辞める理由をアンケートしたのですが、30代は給料で、20代は人間関係。20代はドライな関係がいいのだろうと思っていましたが、実際は家族のような濃密なコミュニケーションを求めているのが60%以上というのに驚きました。熱い男、「オーシャントーキョー(OSEAN TOKYO)」の高木琢也代表が若い世代に人気なことに納得しました。

 

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