ファッション

「J.W.アンダーソン」2017年春夏ロンドン・メンズ・コレクション

REPORT

「むか~しむかし、あるところに」。

2017年春夏の「J.W.アンダーソン」メンズは、こんなフレーズからスタートできそうなくらい、ノスタルジックだった。今シーズンのインスピレーション源は、童話「星の王子さま」。ただコレクションの着想源になったのは、童話そのものよりむしろ、物語に夢中だった幼少期の心のようだ。ネオンカラーに彩られたタートルネックのニットは袖が異様に長く、まだまだ甘えん坊な男の子の内面を表しているようだし、パパやママの洋服をいたずらに着てしまったようなムードがただよっている。チュニック丈のシャツには、キルティングで作ったビブ(よだれかけ)のようなパーツをプラス。曲線にアレンジした襟や裾も、子どもっぽいムードを強めている。

ヘンリーネックのリネンシャツ、コートとシャツの中間のようなトップス、それにボーダー柄のニットにのったモチーフは、まさに子どもの奇想天外で複雑怪奇、けれど、どこか微笑ましい頭の中のイメージのようだ。リネンのシャツには、油性絵の具のような質感で抽象画をハンドペイント。シャツには子どもが大好きなパズルと、晴れた日に登った木の幹、ママのような女性、それにポジティブカラーのチェックが同居し、混沌としていながらもノスタルジックかつハッピーなムード。混沌としているのは、一着の洋服の中に詰め込んだ数々のモチーフのみならず、ワンピースのようなニットにハイウエストのフレアパンツ、ウィメンズのようなショルダーバッグ、そしてテクノなゴーグルタイプのサングラスなど、テイストのミックス感もすさまじい。

「ロエベ」との両立がスタートして以来、自身の名前を冠にしたブランドは、より若々しい方向に舵を切っている。「星の王子さま」を出発点とした今回のコレクションは、ユースマインドをより強く意識するようになった方向転換について、ジョナサン・アンダーソンが引き続き自信を持っていることの表れのようだった。

LOOK

 

BACKSTAGE

 

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。