「バリー(BALLY)」のルイージ・ビラセノール(Rhuigi Villasenor)=クリエイティブ・ディレクターが、双方の合意のもと、ブランドを去った。ビラセノールは2022年1月に就任し、同年9月のミラノ・ファッション・ウイーク(以下、ミラノコレ)でデビューコレクションを披露。彼を抜てきした際にニコラ・ジロット(Nicolas Girotto)最高経営責任者(CEO)は、「思い切った選択だが、期待通りのことをやっていては勝てない。『バリー』の過去を振り返ると、社会的また産業的な革新の歴史があり、それは魅力的なもの。この業界には、ブランドを高め、エネルギーをもたらすために、リスク覚悟の大胆な選択や若さ、クリエイティビティーが必要だ」と話していたが、わずか2シーズンでの退任となった。今後は、デザインスタジオが次のクリエイティブ体制が決定するまでのディレクションを継承。9月のミラノコレでは、男女合同ショーを計画している。
15年に立ち上げた自身のブランド「ルード(RHUDE)」も手掛けるビラセノールは、ここ数年プレゼンテーションのみを行なっていた「バリー」をランウエイに復帰させるとともに、大胆でセンシュアルな女性像を表現した2回のコレクションを通して、ブランドの知名度向上に貢献。また、意表を突くウエスタンブーツのデザインと伝統的な登山モチーフの融合によってブランドの歴史を物語るカーリングブーツを称えるなど、独自のアイデアを発揮した。
退任に際して、彼は「『バリー』での経験は、信じられないほど光栄なものだった。ブランドの今後の発展を祈るとともに、次のクリエイティブな一章を楽しみにしている」とコメント。一方、ジロットCEOは、ビラセノールの「創造的な貢献」や「『バリー』を再び脚光の下へと導き、モダンでグラマラスな視点を通してブランドの170年のレガシーをさらに若返らせた情熱やエネルギー、クリエイティビティー」を評価し、「彼のクリエイティブな旅の次章での活躍を祈っている」と語った。
同ブランドは、23年度の目標としてアメリカ市場でのさらなる拡大を掲げており、4月には大規模な改装を経てニューヨークのミートパッキング地区にある旗艦店をリニューアルオープンしたばかり。同店は、ビンテージ家具と柔らかな色彩、ラグジュアリーなファブリックを用いるビラセノールによる新たなデザインコンセプトを導入した最初の店舗だった。親会社のJABホールディング(JAB HOLDING)の方針により詳細な売上高は明らかになっていないが、「バリー」の年初来の売り上げは前年比20%増。メンズが売り上げの60%を占めているが、ジロットCEOはもともとブランドのコアビジネスであったウィメンズカテゴリーの成長を目指している。