サンフランシスコ発のフットウエアメーカー、オールバーズ(ALLBIRDS)が5月9日に米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に提出した届出書により、共同創業者で共同最高経営責任者(CEO)のティム・ブラウン(Tim Brown)がCEO職を離れ、チーフ・イノベーション・オフィサーとなることが明らかになった。今後は、もう1人の共同創業者のジョーイ・ズウィリンガー(Joey Zwillinger)CEOが単独で経営を指揮することになる。
さらに同社は10日に提出した年次報告書で、グローバル支社の従業員の約9%に当たる21人を今月解雇したことを発表した。詳細は明らかでないが、オールバーズは退職金およびその他の従業員解雇に関連する費用は2023年第2四半期中に計上する予定だとしている。
今回の解雇は、昨年8月にグローバル支社の従業員の約8%を解雇して以来、2回目。また、新規採用も大幅に減らしているという。これら以外のコスト削減策として、オフィススペースの縮小や配送センターの自動化、在庫の最適化、コストと製品のカーボンフットプリントを削減するための生産スケーリングなどを挙げている。なお、今年3月に発表した新たな戦略変革計画には、既存ラインの再生やフットウエアの生産をベトナムの提携先に完全に移行すること、海外では代理店を通した販売方法に切り替えること、新規出店の減速などが含まれている。
オールバーズが5月に発表した23年1〜3月期(第1四半期)決算は、売上高が前年同期比13.4%減の5435万ドル(約73億3700万円)だった。純損失は3516万ドル(約47億4600万円)となり、前年同期の2187万ドル(約29億5200万円)から拡大している。この要因について同社は、卸の増加やそれに伴う値下げによる平均販売価格の低下、また為替レートの変動によるおよそ120万ドル(約1億6200万円)のマイナスの影響があるとしている。
今回の人事について、ブラウン共同CEOはオールバーズの戦略転換の計画への尽力のため、ズウィリンガー共同CEOと話し合いの末、決めたという。「私の役割は変わるが、長きにわたって培った『オールバーズ』の可能性に対する視点と信念は変わらない。当社はこれまでも発展してきたが、さらに大きく発展できると確信している。新たなサステナブルエコノミーの中、デザインやイノベーション、ブランドの明確なビジョンなどに焦点を当て、現在進行中の戦略的な変革でさらなる成長の可能性を伸ばしていく」。
オールバーズは、元プロサッカー選手のブラウン共同CEOと、再生可能エネルギーの専門家であるズウィリンガー共同CEOが15年に創業。自然由来の素材を使用したミニマルなデザインが世界中で人気を博し、フットウエアを中心にアパレルやアンダーウエアを手掛けている。日本では20年1月に東京・原宿に初出店し、21年6月には丸の内に2号店をオープンした。21年11月には、米ナスダック(NASDAQ)に新規上場(IPO)した。