良品計画は「地域への土着化」や「日常生活の基本を担う」ことを目指し、地域店舗に権限を移して個店経営を進めている。食の地産地消やローカルサプライチェーン構築にも力を入れており、こうした取り組みが店頭で色濃く見えるのが「無印良品」京都山科だ。地域の人を巻き込んだ取り組みが多く、訪れた人が自然に循環を体験できるユニークな店舗だ。「食べる・見つける・買う」をコンセプトに、3層構造の売り場では無印良品の標準的な品ぞろえに加え、野菜や肉、魚、惣菜、グロサリーなど、食に関する商材全般を取り扱う。(この特集は「WWDBEAUTY」2023年5月29日号からの抜粋です)
地域を巻き込む“循環”ポイントは大きく三つある。一つ目は、不用品をごみではなく資源として循環させる機能を持つ点。これは「無印良品」全体が取り組むことだが、山科店は回収した製品が新たな形に生まれ変わる点を店頭やインスタグラムなどで発信し、認知を広げている。二つ目は地元生産者による生鮮食品がそろう点。生鮮食品の約4割が生産者から直接届く。約50の近隣農家と契約し、常時20~30の生産者の野菜が並ぶ。複数のテナントと協業して生鮮や惣菜を含む食の専門売り場を運営する。三つ目は、地元食材を生かした京都山科店独自の開発商品がある点。例えば京都・美山牛乳を活用し、大正14年創業の京都の洋食屋「スター食堂」と開発した“美山牛乳とマスカルポーネのコーンポタージュ”や、京都・山科に工場を構えるソース屋「オジカソース工業」と協業した京都・水尾のユズを用いた“柚子ぼん酢”などだ。
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