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「シャネル」のアンバサダー戦略は「アンバサダーはブランドと共に成長」 小松菜奈がパリコレのヒロインになるまで」【業界アンバサダー特集】

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どこよりも早くアンバサダーの存在価値を見出し、深くて長い関係を築いている先駆けは「シャネル(CHANEL)」だ。メゾンは、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)の時代から多くの女優と交流。ロミー・シュナイダー(Romy Schneider)やアヌーク・エーメ(Anouk Aimee)、ジャンヌ・モロー(Jeanne Moreau)といった銀幕のスターたちは、今のアンバサダーに相当する「シャネル」のミューズだった。その後も「シャネル」を彩ってきたアンバサダー的存在は多い。特に「シャネル」は、一度起用したら長らくアンバサダーとの蜜月の関係を築いている印象がある。ヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)やリリー・ローズ・デップ(Lily Rose Depp)は、2世代にわたりメゾンと親密な関係を築いている好例だ。(この記事は「WWDJAPAN」2023年5月22日号からの抜粋です)

「シャネル」は今年3月、2023-24年秋冬のパリコレクションで日本のアンバサダーである小松菜奈をヒロインに迎えてショーを開催した。小松と「シャネル」とのつながりは14年から。彼女もこれまでショーに出席するだけでなく展覧会やさまざまな活動に参加している。

小松は18歳の時、「シャネル」に出合った。「シャネル」のショーでモデルを務めたり、出席したりすることでメゾンについて学ぶようになり、パリ近郊のアーカイブ施設で「シャネル」の歴史について話を聞けたのは大きな経験だったようだ。彼女は、「新しい驚きをもたらしてくれるその学びに、終わりはない」と学びの中で出会った才能あるアーティストやミュージシャンたちとのつながりと「シャネル」のチームは“大切な家族のような存在”と言う。彼女もまた、「シャネル」と長くて深い関係を築いて共に成長しようとしている。

小松はアーティスティック・ディレクターのヴィルジニー・ヴィアール(VirginieViard)のクリエイションを「ノンシャランなスタイルを熟知しているからこそできるもの。彼女が生み出すパンクな要素と深く共感している」という。そしてヴィアールの仕事と人柄は、それとなくガブリエル・シャネルを想起させるよう。メゾンの本質に共感しているのだ。

グローバルなヒロインとしての成長

小松は、オランダ人フォトグラファーデュオであるイネス&ヴィノード(Inez & Vinoodh)が手掛けた「シャネル」23-24年秋冬プレタポルテコレクションのティザー画像や一連のイメージに登場。メゾンのアイコンの一つであるカメリアにインスパイアされたコレクションのヒロインに抜擢された。結果、写真家のウィリアム・クライン(William Klein)による1966年の映画「ポリー・マグーお前は誰だ?」をモチーフにしたセットで、登場人物のパリに住む若いアメリカ人モデルを演じている。彼女は、「メゾンにとって大切な花を体現することになり、責任の大きさを感じると共に大変光栄に思う。カメリアにまつわる数多くの逸話を知り、心から感銘を受けた。ひとつはその昔、ある手違いでお茶の代わりに日本からヨーロッパに輸入されたと言う事実。カメリアはあまり香りがしない花と言われており、ある意味ニュートラルなキャンバスのよう。だからこそ、自分らしさはそのままに、この花のようにエレガントで完璧、同時に軽やかさも持ち合わせる存在には誰もがなれる」とメゾンのアイコンにも思いを馳せている。

最初はヘアメイクが似合うかどうか不安だったという小松は、この撮影に関して、「イネス&ヴィノードのディレクションは、現場にいる各クリエイターのパフォーマンスを最大限に引き出してくれる。私たちは、真のコミュニケーションでつながっていて、この貴重な体験からたくさんのエネルギーをもらった」と振り返った。

モデルと女優の顔

小松は自身のことを、「自立していて行動的、意志が強く、完璧主義者」と言う。常に刺激を求め、型にはまることが嫌いで自由を大切にする彼女は、まるで、シャネルの現代版のような存在と言えるだろう。「モデルは、各撮影で本能的にカメラの前で求められたものを表現する短距離選手のようなもの。女優は常に変化し、向上し続けていかなければならない。私は女優と『シャネル』のモデルという2つの仕事を両立させることで、刺激を受けて成長し続けていける」という。

年表
アンバサダー小松菜奈と「シャネル」

2014 2014-15年秋冬クルーズコレクションで雑誌のエディトリアルに起用された

2015 2014-15年秋冬クルーズコレクションのショーに出席

2016 ファッションのアンバサダーに就任後、17年春夏プレタポルテコレクションでパリのショーに出席

2017 東京で開催された2016-17年メティエダールコレクション“パリ コスモポライト”のレプリカショーに登場

2019 東京で開幕した「マドモアゼル プリヴェ」展に出席

2020 2020年春夏パリ・オートクチュールコレクションのショーに出席。顧客向けのプログラム“スタイルトーク”に参加。2020-21年メティエダールコレクション“貴婦人たちの城”の音声ガイドのナレーションを務める

2021 「シャネル」のアンバサダーであるキャロリーヌ・ドゥ・メグレが監督した2021-22年秋冬プレタポルテコレクションのティザー動画“ゲッティング レディ”に参加。顧客向けプログラム“スタイルトーク”に参加。東京で開催された「ガブリエル・シャネル展」のオープニングに出席

2022 2023年春夏パリ・プレタポルテコレクションのショーに出席。セネガル・ダカールで開催された2022-23年メティエダールコレクション“シャネル ダカール”のショーに出席

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