日本ロレアルはこのほど、廃棄予定の化粧品を建物建材へとアップサイクルし、東京ガス不動産が開発する建物へ活用促進することについて合意した。両社の提携第1弾として、日本ロレアルが廃棄予定のパウダーファンデーション822個を材料に、東京ガス不動産がタイル建材を製作した。開発を手掛ける「国分寺学生寮(仮称)」(11月竣工予定)および「武蔵野学生寮(仮称)」(2024年1月竣工予定)の建材の一部に採用する。
今回の提携について日本ロレアルの山本也寸志ヴァイスプレジデント オペレーション本部長は、「化粧品を建材にアップサイクルすることは日本の高い技術力ゆえに実現できること。ロレアルグループ内でも世界中で高い評価を得ている。自社商品を単に廃棄するのではなく、新たな付加価値を持つ新しい“美”に生まれ変わらせるアップサイクルは、美の創造を専業とするロレアルの社員にとっても意義深い取り組みだ。東京ガス不動産と提携できることは光栄であり、取り組みがインスピレーションとなり、日本の循環経済への一助となればうれしく思う」とコメント。
また、東京ガス不動産の相原隆士営業本部長は、「日本ロレアルとはこれまで、新宿パークタワーにおいて廃棄物の分別による資源リサイクルや、生ごみのバイオガス化リサイクルなどの取り組みを行ってきた。今回の取り組みは異業種の2社が循環経済社会の形成に貢献する新たな試み。同社が掲げる『安心・快適・環境との調和を提供するESG型不動産開発』のさらなる推進に向け、日本ロレアルと引き続き連携を強めていく」と語った。
ロレアルのサステナビリティ戦略は、グローバルプログラム「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」の下、2030年に向け抜本的な取り組みを推進。その目標の一つが事業拠点から出る廃棄物の100%リサイクルまたは再利用を30年までに実現することだ。日本では特にアップサイクルに注力しており、22年には化粧品業界で初めて美容部員の制服のアップサイクルをスタート。同年10月にリニューアルオープンした本社オフィスは自社化粧品4400個をアップサイクルした建材を用いている。これらの取り組みにより、22年末時点で16年対比で50%の自社化粧品廃棄を削減した。