人種や性別、年齢、宗教や価値観、嗜好など人の内面・外観の違い互いに認め、尊重し合うことを意味する。企業活動においては、「違い」を互いに受容することが組織の一体感を高め、新しい価値創造事業の成長につながるという考え方が広がっている。(この特集は「WWDBEAUTY」2023年5月29日号からの抜粋です)
ファンケル(FANCL)
女性活躍は“当たり前”の組織風土が強み
ファンケル(FANCL)グループは、「企業の成長には従業員の多様性を生かすことが不可欠」という考えのもと、多様な人材が活躍しやすい環境整備に取り組む。1980年の創立期から女性パート社員を積極的に雇用し、99年には障がいがある人の自立支援を目的とした特例子会社「ファンケルスマイル」を設立し、障がい者の雇用機会を創出する。2022年には従業員の有志でLGBTQアライを立ち上げ、社内でLGBTQへの理解促進に取り組むなど、多様性をお互いに尊重して認め合い、個性や能力を発揮する。
中でも「女性活躍推進」に関しては、ダイバーシティ&インクルージョンの重点分野と位置づける。06年に「働く女性プロジェクト」を発足し、子どもが小学校を修了するまで短時間勤務を可能にして、従業員の子ども1人につき18歳まで毎月1万円の「よいこ手当」を支給するなど、出産や育児をサポートする仕組みを構築した。広報担当者によると、「創業当時から多様性を尊重する風土が根付いている。形だけの制度ではなく、いかに活用してもらえるかが重要だ」と、制度を気兼ねなく使える環境づくりができている。女性管理職は47.1%(23年3月末時点)で、「創業当時から女性が多く、女性の活躍は当たり前のことと受け入れられている」と話す。一方で、日本全体はいまだ女性の起業家や管理職に就く人が諸外国と比較しても少なく、身近に参考にできるロールモデルが少ないという。「『私にもできそう』とイメージしやすくすることが必要だと考える。化粧品や日用品を購入するお客さまは大半が女性であるため、女性特有の感性は業界の中でも非常に重要だ」と述べる。今後は、「中長期的な次世代役員候補の育成が必要」と考え、候補者のパイプライン作りと候補者層の人材プール作りの両面を推進していく予定だ。
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