毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年5月29日号からの抜粋です)
向:サステナビリティ特集を9年前に始めて、概念の説明から素材作り、サプライチェーンを取り上げてきて、ようやく店頭にたどり着きました。店頭でできるサステナビリティアクション26を紹介しましたが、「いろいろできることがある!」と思いました。地道な取り組みが多いけれど、1つでも取り入れてみようと思ってもらいたいです。
廣田:私は取材を通じて、久しぶりにワクワクする店舗に出合えました。特に阪急うめだ本店8階の“自然との共生”を目指した新ゾーン「グリーンエイジ」は、アウトドア系からラグジュアリーまでブランドが区切られていないことにも驚きましたが、「プラダ(PRADA)」と「ミュウミュウ(MIU MIU)」の無染色のジャケットやパンツなど、品ぞろえもよかったです。空間デザインも開放的で新しいお客さんが入りやすそう。オープンから1カ月が経過したタイミングで再訪すると、再入荷待ちのアイテムもあり、ちゃんとお客さんに受け入れられていると感じました。
向:体験イベントも1日にいくつも用意していて、年間では千単位の数になるのでは。担当者はひっきりなしに打ち合わせをしているようでした。リペアやレンタルなど、オンラインやオフラインのサービスも盛り沢山で、これぞOMO。担当バイヤーが「売上高とサステナビリティを両立する」と明言していたのをとても頼もしく感じました。
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廣田:それから、「無印良品」の京都山科店が地域活性化に貢献しながら商品開発していて、それがブランドの独自性になっていることにも光明を感じました。例えば限界集落になった京都・水尾の名産品ユズを使ったポン酢などです。店が権限を持ち、地元の名産品を使って商品開発をすることで、経済の循環が生まれています。食から始まり、工芸などさまざまな分野に発展するとさらに面白くなりそうと感じました。向さんは何が印象に残りましたか?
向:私は、販売員973人にとったアンケートの回答で「サステナビリティ関連商品は販売されているが、所属企業から詳細情報は与えられていない」という人が26%いることが課題だと思いました。販売員が理解していなければ、さまざまなアクションもお客さんに伝わりません。その背景や知識を店頭にしっかりシェアすべきです。私たちも媒体としてそうした動きを企業やブランドに働きかけていきましょう。