話し言葉(自然言語)で会話ができるAIチャットボット「チャットGPT」など生成AIの登場により、にわかにAIへの注目と期待が高まっている。AIの活用でファッション業界はどう変わるのか。すでに自社でAIを開発し、多方面で導入するZOZOの牧野洋平AI・アナリティクス本部本部長に、AIの活用や得意・不得意分野、この先の展望について聞いた。
WWD:AIにはいつからどのように携わってきた?
牧野洋平ZOZO AI・アナリティクス本部本部長(以下、牧野): 17年のZOZO入社以来、データ分析のチームを率いている。そこで機械学習というAIの一部を使ってきたが、昨年からZOZO全体のAI活用の推進も担っている。各種のAI・機械学習を用いた予測モデルの構築や、生成モデルの検証にメンバーとともに取り組み、サービスやシステムをより最適にするのが私の仕事だ。前職のコンサルタント時代もいわゆるビッグデータの分析やビッグデータを用いたサプライチェーンの最適化サービスの導入を進めていたが、その時はAIや機械学習とは異なる前職独自の手法を用いていた。
WWD:ZOZOでは現状、どのようにAIを活用している?
牧野:大きく4つの分野で使っている。1つ目が「ゾゾタウン」上での検索やレコメンドだ。昔は人気順で検索結果を表示していたが、20年に「おすすめ順」を加えた。つまり人によって出てくる順番が違う。裏では機械学習モデルが使われていて、パーソナライズされている。また、商品ページの下の方の関連商品も裏では機械学習、AIのモデルが使われている。ゾゾマットを使った計測時にユーザーがスマートフォンで撮影した画像から足型の3Dデータを生成する際や、その3Dデータをもとにシューズをレコメンドする際、ゾゾグラスでの計測時にユーザーがスマートフォンで撮影した画像から顔の形状・部位を特定する際や「パーソナルカラー診断」にもAIを活用している。
2つ目が販売促進。メルマガやLINEを使って、キャンペーンなどについてお客さまとコミュニケーションしているが、どんなタイミングでどんなコミュニケーションを取るか、どんなキャンペーンをお客さまに出すと、よりいい反応を得られるかという部分も、裏でモデルが回っていて、出し分けている。
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