「WWDJAPAN」編集部は毎週月曜日に「WWDJAPAN Weekly」を発行していますが、毎月第4週には「WWDBEAUTY」も発行しています。5月29日号の「WWDBEAUTY」、表紙の二階堂ふみさんのみずみずしいビジュアルに思わず引き込まれたという方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。
ビューティ号なので、もちろん淡いアイメイクやリップカラーに注目いただきたいのですが、二階堂さんが着ている立体的な白いブラウス(12万9800円)もかなり印象的。私はファッション担当の記者なので、やはりメイクだけでなく服も気になります。クレジットを確認したところ、ブラウスは「ジア ストゥディオ(GIA STUDIOS)」のものでした。あまり聞き慣れないブランドですが、そういえば富裕層やエッジーなファッション好きに支持される青山のセレクトショップ、アデライデ(ADELAIDE)の運営元のザ・ウォールが日本国内への輸入卸を手掛けていたはず。もちろん、同ブランドはアデライデでも販売しています。
アデライデは、「ヴェトモン(VETEMENTS)」やデムナ(Demna)が手掛ける「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を最初期から仕入れていたり、今のようなブームになるはるか昔から「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」を消化率高く売り続けていたりと、モードファッションを代表する“目利き”店の1つ。そんな店が扱っているブランドとなると、さらに興味は募ります。ちょうどザ・ウォールの展示会があったので聞いてきました。
「ジア ストゥディオ」はベトナムで2018年にスタート。ベトナム発と聞くと意外だと感じる方もいるかもしれません。確かに縫製拠点として注目を集める国ではありますが、カジュアルSPAなどの生産が中心で、モードでエレガントなブランドのイメージは薄いです。ただし、「フランスの植民地だったこともあって、富裕層に向けた高級服の仕立屋などは元々あった土地柄」だと広報担当者。「ジア ストゥディオ」も、そうした高級仕立屋の流れを汲んでいるんだとか。ハノイには直営店もあり、写真を見るとものすごくモダンな内装で、「ジル サンダー(JIL SANDER)」や「ザ・ロウ(THE ROW)」などが好きな方にはすごくハマる雰囲気だと思います。
仕立屋ならではの立体的な裁断が強み
二階堂さんが「WWDBEAUTY」表紙で着こなしたブラウスも非常に立体的な作りですが、展示会に並んでいた23-24年秋冬物のジャケットやコートも、ウエストラインや袖がきれいなカーブを描く作り。ここに仕立屋時代から受け継がれてきたパターンメイクのテクニックが生かされているんだと思います。ハンガーにかけた状態でこれだけの立体感を保つことができる服って、店頭でも必然的に目立つもの。価格はドレープたっぷりのコートで20万9000円、ジャケットも13万円前後と決して安くはないですが、ラグジュアリーブランドも並ぶアデライデの中ではかなりお手頃に感じ、実際価格はお客さまに支持されているポイントの1つだそうです。
日本国内ではザ・ウォールから、伊勢丹新宿本店4階やドゥーズィエム クラス(DEUXIEME CLASSE)、アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)などに卸販売しているそうですが、「消化率も高く、シーズンを重ねるごとに1店あたりの発注金額が伸びている」と上々なよう。ファーフェッチ(FARFETCH)やエッセンス(SSENSE)など有力海外ECも扱っており、今後ファッション好きの間でさらに注目度が高まりそうなブランドです。