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ピッティらしいリアルという解釈が加わった新たなスタイル
第90回ピッティ・イマージネ・ウオモがイタリア、フィレンツェで開幕した。2日目の15日、メンズウエアのゲストデザイナー「ゴーシャ ラブチンスキー(GOSHA RUBCHINSKIY)」が2017年春夏コレクションを発表した。今回も故郷である1990年代のロシアのスケーターやクラブシーンなどがインスピレーション源だが、発表の場であるイタリアとのコラボレーションを意識したコレクションだ。定番となった、王道のランニングシャツをパンツインしたスタイルや、トラックスーツのセットアップ、エメラルドグリーンからモノトーンまで、レンジの広いカラーリングのスエットやTシャツといったスポーツアイテムを多用しながらも、チャコールグレーのセットアップスーツやトーンを抑えたベーシックなステンカラーコートなど、ピッティらしいリアルさも感じられる。これまでのどこか青臭くもありながら、彼なりのイタリアンファッションへの解釈が加わった、新たなスタイルを提案している。今季は「フィラ」「カッパ」「セルジオ・タッキーニ」といったイタリアン・スポーツブランドとのコラボレーションも発表。ロシア語のブランドロゴ入りスエットやTシャツ、ランニングシャツなどに加え、オーバーサイズでピッチの異なるボーダーのトップスなどブランドのアイデンティティーは健在だ。
また、ランウエイ後には、ゴーシャの初のショートフィルム「The Day of My Death」を上映。ロシアの映画監督、女優でもあるレナータ・リトヴィノヴァが自ら出演、監督を担当する全編モノクロのサイレント映画だ。映画にも出演したスタイリストのロッタ・ヴォルコヴァが「イタリアの映画監督で詩人、ピエール・パオロ・パゾリーニの歴史、詩、作品などに影響を受けた」と話すように、内容はどこか内向的なのに背伸びしたがる少年と少女を主役に、彼らの性や暴力など、夢と現実を行き来するような、思春期ならではのナイーブな心情を描こうとしている。