「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」は6月1日、同ブランドのメンズウエアデザイナーとして経験を積んだステファノ・ガリーチ(Stefano Gallici)を新たなクリエイティブ・ディレクターに任命した。就任からわずか半年でブランドを去ったルドヴィック・デ・サン・サーナン(Ludovic de Saint Sernin)の後任となる。2024年春夏パリ・ファッション・ウイーク期間中の9月30日にデビューショーを開く予定だ。
ガリーチ新クリエイティブ・ディレクターは1996年生まれ。イタリアのベネチア建築大学(IUAV)でファッションデザインを学び、ベルギー・アントワープで「ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)」のアシスタントデザイナーとしてキャリアをスタートした。2019年1月、伊セレクトショップのアントニオーリ・グループ(ANTONIOLI GROUP)にデザイナーとして入社。同グループがアントワープ拠点の「アン ドゥムルメステール」を買収した20年、メンズウエアデザイナーとして同ブランドに加わった。
現在のオーナーであるクラウディオ・アントニオーリ(Claudio Antonioli)は、「ステファノは、すぐに『アン ドゥムルメステール』に対する力強いクリエイティビティーと明確なビジョンを示してくれた。彼は未来を見据えたブランドのDNAを体現している」と評価する。
「アン ドゥムルメステール」は1985年、アントワープ王立芸術アカデミー卒業生のアン・ドゥムルメステール(Ann Demeulemeester)がパートナーのパトリック・ロビン(Patrick Robyn)と共に設立した。2013年にはドゥムルメステールがデザイナーを辞任。その後継を務めていたセバスチャン・ムニエ(Sebastien Meunier)も20年7月に退任し、アントニオーリによる買収後しばらくはデザインチーム体制で創業者時代をほうふつとさせるコレクションを手掛けていた。そして、22年12月にデ・サン・サーナンをクリエイティブ・ディレクターに抜てき。23年3月に彼自身のスタイルが強くにじむ大胆かつ官能的なデビューコレクションを披露し賛否両論を呼び、結果的に1シーズンのみで退任となった。その点、内部昇格となるガリーチ新クリエイティブ・ディレクターは、同ブランドの世界観や顧客への理解も深そうだ。