REPORT
過去のアーカイブを大量披露、次のステージはどこだ
ピッティ・イマージネ・ウオモのゲストとしてラフ・シモンズが2017年春夏メンズ・コレクションを発表した。会場となった古い駅舎には、これまでのアーカイブを大量展示。マネキンに着せたコレクションピースは、赤や青、黄色などヴィヴィッドなスポットライトに照らされ、さながらレイブパーティのようだ。オペラの名曲「アーサー王」が流れる中、コレクションは突然スタートした。ラフらしい、ビッグシルエットのシャツや脱構築を繰り返し原型さえ留めていないカーディガンにフォトグラファー、ロバート・メイプルソープの作品をプリントした布帛をアタッチ。パティ・スミスやセルフポートレイト、静物、男性器まで、ラフ同様豊富なメイプルソープのアーカイブからセレクトしたものだ。膝までを覆うロング丈でボリューミーなニットや、レザーのエプロンスカートに、ボンデージ調のハットといったエッジの効いたアイテムの対になるよう、パンツは黒のタイトと至ってベーシック。ブランドが得意とするユース特有のセンシティブな空気感とイノセンス、大人に対する憂鬱を備えつつ、一方で挑発的なイメージは、マルタン・マルジェラのコレクションに衝撃を受け、デザイナーの道を歩んできたこれまでが詰まっている印象だ。
全体的にどこか、ニューヨークのアンダーグラウンドなムードが漂うコレクションは、「カルバン・クライン」との契約の噂が飛び交い、その去就が注目される彼のニューヨークへの足掛りとなるのだろうか。