スペイン発ポーセリンブランド「リヤドロ(LLADRO)」からデザイナーの深澤直人がデザインした照明“モクレン”が登場した。同ブランドは、今年創業70周年。スペインのバレンシアでポーセリンのオブジェや照明などを作り続けている。「リヤドロ」はこの照明の誕生を記念して東京・青山で深澤のトークショーを開催。このプロジェクトやインスピレーション、クリエイションなどについて語った。
「リヤドロ」が深澤へこのプロジェクトの依頼をしたのはコロナ禍だった。深澤のデザインは無駄を削ぎ落としたミニマルなものが多いが、コロナ禍ということもあり、気が向くものをデザインしたいと思ったようだ。彼は、「モクレンの花の情景を見ていて再現したいと思った。花が白く光ってポーセリンのように見えた。情緒的なものをやったことがなくデザインをしてみようと思った」と語る。彼は、自身の感情をデザインに入れると装飾性が高くなるので切り離して考えるそうだ。モクレンは、それ自体情緒があるモチーフ。深澤は「枝の部分を工業的に処理し、クールにデザインした」と言う。完成した照明は可憐な印象。LEDを灯すとやわらかい光がこぼれる花とブラックラッカー仕上げの枝の部分が詩的なコントラストを描く。
「『リヤドロ』の再現性はミケランジェロ(Michelangelo)くらい高いが、こんなにきれいにできるとは思わなかった。僕の名作の一つになった。華やかで静か、心地よい空間に映える照明だ」。常に安定した品質のものを作り出すにはパワーと思いが必要。ウィットに富んだユーモアのあるものが作りたいという深澤。クリエイションを成功に導く秘訣は、「最後に魅力のふりかけをかけること」とにこやかに語った。価格は313万5000円。