毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年6月5日号からの抜粋です)
澤田:「ボタニスト」などを企画・販売するI-neが300人規模の企業でありながら売上高が350億円あり、とても高効率だと感心しました。商品力もありますが、ゼロからドラッグストアなどの販路を開拓してきた営業力もすごい。自力で人材育成をしていると聞いたので、どんな制度なのかが気になり、他社の研修制度も一緒に紹介しようと特集を企画しました。
村上:I-neは部門長と担当人事が二人三脚で研修プログラムを作り、一連のプログラムも個々人の課題を知る部門長が取捨選択していて、設計も運用も上手な印象です。例えば営業なら、トップの人材のノウハウを全てが開陳していて、どの棚を取って、こう置くと、結果はこうなるといった“虎の巻”を体系化して伝授している。効果実感が高そうでした。
澤田:緻密で地道な感じでしたね。「やり切ることが大事」と語っていたのが印象的でした。ビームスの入社3年以上向け社内インターン制度も興味深かったです。他部署の仕事をして、自分でどうキャリアを作っていくかを見定める機会であり、組織が大きくなるにつれて、隣の部署が何をやっているかが見えづらくなっていたという課題解決にもなります。半期で50〜70人が利用しているそうです。
村上:良さそうですね。一緒に取材したユナイテッド ヌード ジャパン(UNITED NUDE JAPAN)は、コロナ禍で抱えたストレスの解消になればと社員向けにアートセラピーのワークショップを開催。自由に絵を描かせることで、その人について、分かることも多いそうです。ほかにもヘアカット代を会社が全額支給し、ヘアサロンには「保守的になりすぎないように」とリクエストしている。髪型が変わるとスタイルが変わって、そこから足元も全体も変わりますよね。そうするとお客さんへの提案も変わります。福利厚生と表裏一体な感じですが、一石二鳥です。
澤田:社員のエンゲージメントにもつながりますね。
村上:コロナ禍で休止していた料理教室や英会話教室、目的地に行く途中で視野を広げるために行うトランジット出張なども復活させるそうです。リアル店舗の価値を突き詰めていくと、人間力が肝だとみんなが感じています。研さんを深めたり、豊かな体験をすることが、価値あるサービスを提供するためには大事というムードを感じます。