2023年下半期のメイクアップで重要になるパーツは「鼻」になるーー。6月8日、「アットコスメ(@COSME)」がそんなビューティトレンド予測を発表した。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、マスクの着用が「個人の判断」に委ねられたことで、マスクの下に隠れていた鼻を出す時間が増えたことが理由だ。
「鼻」への関心が若年層を中心に高まっている
23年5月に行ったアットコスメユーザーを対象としたアンケートで、直近半年間の意識や行動の変化を聴取したところ、10〜30代の37%が「マスクで隠れていた鼻が気になるようになった」と回答した。このデータから23年下半期は「鼻」のパーツケアやメイクに注目が集まるのではないかと同社のリサーチプランナーは考える。
アットコスメのサイト内では鼻下や鼻筋、小鼻などの「鼻」についての口コミが増えているという。西原羽衣子リサーチプランナーは、TikTokを中心に活動している美容系インフルエンサーのやみちゃんがプロデュースした3ステップタイプの鼻用毛穴パック“毛穴モップ”が東京・原宿のアットコスメトーキョーで売れていることに触れ、「今後は鼻まわりの毛穴ケアに特化した商品やノーズメイクに力を入れる方が増えそうだ」と話す。
ケアだけでなく、「鼻メイク」も主流になりつつある。アットコスメトーキョーのシェーディングカテゴリの売り上げは昨年対比で2.5倍と伸長。立体的な鼻を演出する「キャンメイク(CANMAKE)」の“ノーズシャドウメーカー”、アイブロウとノーズシャドウをセットにした「ケイト(KATE)」の“デザイニングアイブロウ3D(デュアルカラー)”などがヒットしており、今後もさまざまなブランドから鼻メイクアイテムが登場すると予想される。その背景には、21年頃からSNSで話題になっている“人中短縮メイク“の影響もあるようだ。
当たり前だった写真の「加工」が「無加工」に移り変わっている?
近年、セルフィーはアプリを使用して撮影や加工することが当たり前になっていた。しかし最近は“無加工”で写真や動画をSNSに投稿する傾向が見られ、「#無加工〇〇」というハッシュタグをつけた写真や動画の投稿も増えている。 前述の「鼻メイク」も小鼻縮小や鼻筋の加工を行わない代わりのメイクアップとしての役割がありそうだが、それ以外にも綺麗な肌を演出できるファンデーションや、唇の縦ジワが目立たないリップなどの需要も増えており、SNSのトレンドがメイクアップにも大きく影響していることがうかがえる。
「スキンケア欲再熱」や「イマーシブ消費」なども
リアルとSNS上のギャップを埋めるためには、スキンケアも重要になる。コロナ禍ではマスクによる肌荒れから、鎮静効果のあるシカなどの“守りのスキンケア“が主流となっていた。しかし昨今は美容医療の影響でレチノールやパンテノールといった成分による“攻めのスキンケア“に変わりつつあり、フェイスマスク一つとってもアットコスメトーキョーでも透明感やハリ艶を肌に与える「クオリティファースト(QUALITY 1ST)」のシートマスク“ダーマレーザー スーパーVC100マスク”や、「ルルルン(LULULUN)」の“ハイドラ V マスク”など、肌のアップデートを求めたアイテムが売り上げを伸ばしているという。
「アットコスメ」はそのほかのトレンドとして、サステナブルで衛生的という理由から拡大が予測される容器「スパウトパウチ」や、ライブコマースの利用率が徐々に減り、リアル店舗で購入する「イマーシブ消費」などのキーワードを挙げた。全体の傾向としては、「『コスメ選びに失敗したくない』などの口コミが増えていて、“バズっている商品”がコロコロ変わるのではなく長い期間をかけて情報を集め、信頼できる“バズの長期化”が見られる」と原田彩子リサーチプランナーは述べている。