アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。アナリストリポートなるものがある。これは文字通り、アナリストが投資家への情報提供を目的に、企業の分析や評価をまとめたリポートのこと。株式投資をほとんどしない本明さんだが、実はスニーカーショップを経営していた時代からアナリストリポートを愛読している。まさに「商売の指南書(バイブル)」の一つなのだ。今回は、アナリストリポートをファッション業界人がどう活用するべきかの話。(この記事はWWDジャパン2023年6月12日号からの抜粋です)
本明秀文・アトモス創業者(以下、本明):毎日、証券会社が発行する投資家向けアナリストリポートを読んでいる。市況や為替分析、インバウンド動向、マーケット動向なんかの調査リポートで、日本の経済がこれからどうなっていくかが予想されている。商売は“未来学”だからね。
――本明さんは以前、株式投資は100万円までと決めていると言っていましたよね。今はどこに注目していますか?
本明:今、株は三菱電機だけ。1年ほど前に15万円分買った。一時的に少し下がったけど、今は4万円ほど上がっている。僕は今、絶対にパワー半導体の時代だと思う。パワー半導体は、さまざまな機器に合わせて電力を効率よく変換して、ざっくり言うと省エネを実現できる半導体のこと。オーダーメードで小ロットから作れるけど、技術がないと作れない。世界シェアのトップはドイツのインフィニオン・テクノロジーズだけど、トップ10には三菱電機や富士電機、東芝、ロームと日本企業が4社も入っているんだ。企業も増産投資に踏み切っていて、政府も後押ししている。電力需要の増加で、電気供給力が不足しているわけだから、これからどんどん省エネが必要とされていくのは当然の話だし。
――「アトモス(ATMOS)」時代にもアナリストリポートは役に立っていましたか?
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