カナダ発のスポーツブランド「ルルレモン」は、2023年1月期の売上高が1兆円を超え、「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」に次ぐグローバルスポーツブランドに成長している。メンズシューズが軸の「ナイキ」「アディダス」に対し、「ルルレモン(LULULEMON)」はウィメンズアパレルを主力にし、26年までに売上高を125億ドル(約1兆5900億円)に伸ばす計画を実行している。その柱の1つが、海外ビジネスの拡大だ。カルヴィン・マクドナルド(Calvin McDonald)=ルルレモン・アスレティカCEOに、戦略を聞いた。(編集部記者 木村和花)
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WWDJAPAN(以下、WWD):業績好調の理由をどう分析する?
カルヴィン・マクドナルド=ルルレモン・アスレティカCEO(以下、マクドナルド):まず当社が戦略的に投資してきたオムニコマースが、パンデミックを追い風に一気に浸透した。「ルルレモン」では、ゲスト(顧客)がどんなチャネルからでも一貫したサービスを受けられる仕組みを確立している。次にコロナ禍で、ウェルビーイングへの注目度が高まり、チームスポーツから自分と向き合う個人スポーツへとトレンドがシフトしたことも、当社の強みを生かす商機になった。私たちもヨガに加えて、ランニングや筋トレ、テニス、ハイキング、ゴルフなど、ここ数年でバリエーションを拡大した。
WWD:他社でも同じ動きがある中、なぜ成長できたのか?
マクドナルド:われわれの圧倒的な商品力があることは間違いない。多機能で着心地のいいアパレルコレクションは、コロナ禍で業績を伸ばすことができた理由の1つだ。
WWD:コミュニティー形成を得意とするが、なぜ顧客の定着率が高いのか。
マクドナルド:ひと言で答えるなら、やはり商品力だろう。代表商品の“アラインパンツ”は、競合他社にはない圧倒的な着心地のよさを体感してもらえるはずだ。コミュニティー施策に関しては、うわべではない信頼関係を重視している。コミュニティーとは、顧客だけでなく「ルルレモン」に関わる全ての人々を指す。例えば、ロックダウン中でも、店舗スタッフを含む全従業員の給料を保証し、製造パートナーのためにも発注を一切キャンセルしなかった。これは世界的に見てもまれな事例だったと自負している。困難な時期だったからこそ、「ルルレモン」のコミュニティーは偽りのない関係性だと行動で示せたと思う。店舗に訪れたゲストやイベントの参加者たちも、そうした真のコミュニティーの上にブランドが成り立っていると随所で感じてくれているはずだ。これが最大の差別化の要因だろう。
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