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タンスの中は買取業者にとっての都市鉱山?【今週の特集お届け隊】2023年6月12日号

毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年6月12日号からの抜粋です)

林:コメ兵や「なんぼや」のバリュエンスといったブランド品買取企業がこの5年くらいで軒並み2倍近い売上高になっています。買取業者が中古ブランド品を販売するビジネスモデルについて特集したいと考えました。

美濃島:僕のタンスの中は7割くらいリセール品です。普段から売買していますが、そのビジネスモデルについては詳しくなかったので、興味がありました。これまで中古ブランド品の専門店は、ハイブランドの多額のマーケティング費用や付加価値に便乗しているとか、日の目を浴びない存在とかいうイメージだったのですが、バリュエンスの嵜本晋輔社長が「選択肢の多さが人生の豊かさ」と語っていて、腑に落ちました。ユーザーからすれば選択肢が増えて、過去の商品も手に入る。これは「新しい幸せの形」だと思います。

林:タンスの中の半分は古着というのは、若い人にとっては当たり前ですよね。よく“循環型”というけれど、製品を作り、売るのが「動脈産業」といわれる一方、リセールやリサイクルしていく動きは「静脈産業」と呼ばれます。名古屋にあるコメ兵の商品センターを取材しましたが、 まさにここが“心臓”だと思いました。

美濃島:真贋やメンテナンスの態勢がすごかったです。ジュエリーの石の留まり具合といった細かなところまで、全てのアイテムを1点1点チェックしていました。バッグの真贋判定については「絶対に偽物は販売しない」という責任感もひしひしと感じました。買い取った品物を右から左に動かすわけではない。こんなに大事に扱ってもらえるなら、手放す側もうれしいと思います。

林:手放した人の気持ちのこもったものたちが、商品センターで浄化されているようだったね。スマホの中に眠るメタルを「都市鉱脈」というけれど、同じようにタンスの中にも“お宝”がかなりあるのだと思う。80年代のバブル期に買ったブランド品や宝飾品がタンスの中に眠っているという家庭はまだまだあるだろうから、この先も市場は拡大するんじゃないかな。

美濃島:金が20年前の10倍の価値になっていて、遺品の金歯が驚く価格で買い取ってもらえるなど、気づいてない“お宝”もたくさんありそうです。一度タンスの中を見直してみるといいかもしれないですね。

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