ビューティ
連載 ファッション業界人も知るべき今週のビューティ展望 第116回

進化するスキンケアが抱える二つの課題

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ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、薬機法やさまざまなガイドラインにより商品特徴が伝わりにくいスキンケアアイテムの話。(この記事はWWDJAPAN2023年6月12日号からの抜粋です)

【賢者が選んだ注目ニュース】
ロート製薬が美容医療発想の新スキンケアブランド発売 医療研究と美容研究の知見を融合
「クレ・ド・ポー ボーテ」のハリ美容液が進化 弾むようなハリと潤いに満ちた肌に導く

コロナ禍を経て、ビューティの分野でも「売り方」「買い方」のデジタルシフトが急激に進んだ。バラエティーショップやドラッグストアなどのセルフ販売チャネルはデジタルとの親和性が高く、メイクシミュレーションやオンラインカウンセリングといったコンテンツが充実したことで従来よりも深いコミュニケーションが可能になった。一方で百貨店・専門店など対面販売を行ってきたチャネルにとっては、直接対話できないデメリットをカバーする方向でデジタルシフトを進めなければならず、動画配信やライブコマースなどの双方向性に欠けるコミュニケーション手法に試行錯誤しながら取り組んできた。

真の商品価値は口頭だけで伝えられる

化粧品には薬機法に基づく厳しい規制があり、メーカーの業界団体でも広告表現や機能表示などに関するさまざまなガイドラインが存在する。こうした規制は美容メディアにおいても例外ではない。新商品発表会で伝えられる研究内容や「新知見」は、そのままでは記事にすることのできない情報ばかりだ。記事で使える表現はごく限られているため、例えばブライトニング美容液を選ぼうとしても「透明感」「潤い」「くすみ」という限られた単語が並ぶ記事から商品の特徴を理解するのは至難の業だ。さらにインフルエンサーなどの個人がSNSで発信する美容情報も正確性には幅があり、受け手にとって真偽を判断することはやはり難しい。

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