毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年6月19日号からの抜粋です)
小田島:3月に経済産業省が日本初の「ファッションローガイドブック2023」を作成したこともあって、平川さんに特集を依頼しました。
平川:前回のファッションロー特集は2019年12月。この3年半の間に、新しいトピックがたくさん出てきました。直近では生成AIといったトピックも生まれていますし、一方で模倣品のような昔からの問題も減りません。
小田島:生成AIには個人的にも非常に興味があり、今回はアーティストの草野絵美さんに、生成AIを使って表紙ビジュアルを制作してもらいました。弁護士とアーティストの双方に取材することで、AIアートに今どんな課題があって、それをどう整えていく必要があるのかといったことが、より分かりやすく伝えられたのではないかと思います。
平川:生成AIはプロンプト(指示)を打ち込んでも、生成するまで何が出てくるかは分かりません。今回の表紙も1000枚以上もアウトプットして、その中から草野さんの美意識で選んでもらっています。そんなふうに作り手の意思や美意識がかなり関わってくるのに、機械が作ったものとして著作権は認められない。今後生成AIに関わる人は増えていくと思うので、法解釈も変わっていってほしいと思います。
小田島:ウェブ上で行ったアンケートでは、関心のあるトピックとして労働問題を挙げる声も多かったです。海外の搾取工場の話だけでなく、サービス残業やセクハラといった、より身近な問題です。
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平川:「企業としてサステナビリティを追求するなら、環境負荷削減などの対外的なアピールだけでなく、まず社内の労働問題に目を向けよ」と海老澤美幸弁護士が話していたのは印象的です。
小田島:10月にはステマ規制法も施行されます。
平川:金銭の授受がなくてもステマとなるケースもあるそうなので、素人が判断するには難しい。まあ、消費者に誠実に向き合っていれば問題はないのですが。
小田島:これは問題ないだろうと思ったことが法的にNGだったり、反対にNGと思ったことが法的にはセーフだったりということが私にはたくさんありました。ファッションやビューティ業界人に限らず、生活者全般にとって役に立つ情報が詰まった特集になったと思います。