ハンカチの川辺(東京、岡野将之社長)は、2026年3月期を最終年度とした中期経営計画を発表した。数値目標として売上高145億円、経常利益3億円を掲げる。23年3月期の売上高125億円、経常利益2億円から着実に積み上げて、コロナ前の20年3月期の水準まで戻す。成長戦略の柱としてオリジナル製品のハンカチを強化する。
川辺は今年2月に創業100周年を迎えた。単体売上高の約65%を占めるハンカチ事業は、新型コロナウイルスによる移動自粛の影響を正面から受けたものの、移動制限の撤廃やインバウンド(訪日客)の増加によって回復基調にある。中計では1年目を再生、2年目を新規事業、3年目を結実のフェーズと位置付け、海外市場にも布石を打つ。
中計の重要な柱がオリジナル製品だ。百貨店の服飾雑貨売り場を主力とする同社は、欧米ファッションブランドのライセンス製品のギフト需要で発展してきた。岡野社長は「100周年を機にオリジナル製品に強化することで、いずれはライセンス製品との二本柱にしていきたい」と話す。ライセンス製品は百貨店の売り場でインバウンドへの訴求を強める。オリジナル製品はイベントや専門店、ECを通じて新しい顧客の獲得を目指す。中計の最終年度には、ハンカチ部門でのライセンス製品の売り上げ構成を10%にする。
5月末に開催した4年ぶりの総合展示会は、100周年の集大成であると同時に新方針のお披露目の場となった。47都道府県の名産品や伝統文化を柄にした「47ジャパン・リディスカバリー」、絶滅危機にある生物をテーマにした「カトコア」、人気コーヒーブロガーと共同企画した「コーヒータイム・ウイズ・ヴォーン」などのオリジナル製品のハンカチを小売関係者やメディアにアピールした。また、元日本ハムファイターズの投手で高校時代にはハンカチ王子として一世を風靡した斎藤佑樹氏とパートナーシップ契約が結ばれ、総合展示会では斎藤氏を迎えてのトークショーも行われた。
川辺は1923年に東京・日本橋で創業した。ハンカチの製造卸として老舗であり、近年はスカーフ、マフラー、タオル、香水などへ業容を広げた。秋田県にはプリント加工などを行う自社工場を持つ。東証スタンダードに上場。21年からタオル大手の一広(愛媛県今治市)の子会社になった。